フリージャーナリストが「参政党」ワークショップに潜入 警官も出動! 厳戒態勢の中で語られた内容とは

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多文化共生の楽しさを語ってみた

 しかし、研修室に入ると、そこは全くの別世界だ。「仲間」を迎え入れる参政党支持者たちの温かい笑顔に満ちていた。「東京から来た。初めての参加だ」と告げると、いっそう歓待された。

 ワークショップではお題に沿って参加者全員に自分の意見を発言させ、それを各グループのリーダーが全体に「シェア(発表)」する。20年以上前に取材したスピリチュアル系のグループセラピー(集団心理療法)の類いにも似ていて懐かしい。

 出されたお題は「参政党ってどんな党?」「日本を良くするために、どんな党になってほしい?」「自分にできることは何か」。最後のお題では「ビラ撒きやポスティングを頑張りたい」といった類いの声が出た。政治的な活動をほとんどしたことがない私は「これからは関心を持ちたい」と語り、その理由を説明した。

「地元の駅前開発には、反対運動もあったのに私は関わらなかった。そしたら駅前の街が全部潰された。いろんな国の人が住んでいて、昔から韓国食材のお店やカレー屋など美味しいお店がたくさんあったのに。中国人の老夫婦がやっていた餃子が絶品のラーメン屋も廃業に追い込まれた。うちの近所には他にもエジプト料理店とかモスクもあって……」

 しかし、リーダーが全体に「シェア」したのは「駅前開発で古い店が潰された」という部分だけ。外国人と共生する街の話はなかったことにされてしまった。

 これが「日本人ファースト」というやつか。

潜入取材がバレた

 終了後、参加者の一人が小声で話しかけてきた。私がメディアやYouTubeなどで顔を出して活動しているライターであることに気づいたようだ。しかし、詰め寄ってくる風でもなく、態度は穏やかだ。

「支部長とかには報告しないわけにいかないけど、とりあえず早く帰って」

 警察が参加者を少人数に分けて出口まで誘導するというので、結局は私も最後まで残って他の参加者たちと一緒に退場することに。廊下では、また例の野次の嵐だ。中指を立てた手を黙ってこちらにかざす人もいた。

 一連の抗議活動は、党本部にも萎縮効果をもたらしている。ワークショップの終盤、池上氏から「しばらくワークショップは中止と党本部から話があった」とのアナウンスが。

「イベントのお知らせもクローズドになる可能性が高い。党員登録をすれば、そうした交流の場にも参加できるので、よろしければ登録を」

 結果的に体のいい勧誘文句になっていた。

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