「てめえら、許さねえ!」 40周年「スケバン刑事」がキワモノ扱いから大ヒット作に化けた理由
風間三姉妹
そして、浅香がトリプル主演の1人を務めたシリーズ3作目「スケバン刑事III 少女忍法帖伝奇」は86年10月から87年10月まで全42話が放送された。
主人公は風魔忍者の末裔である風間三姉妹。浅香は三女の風間唯役だが、宮崎から2人の姉に会うために上京し、のちに暗闇指令に会い3代目・麻宮サキを襲名。大西結花(56)は折り鶴が武器の長女・風間結花役、中村由真(55)はリリアン棒が武器の次女・風間由真役を演じた。
3代目は「星流学園1年(2年)B組風間唯。またの名を“三代目スケバン刑事、麻宮サキ”」と名乗り、「許さんわい!」「許さんかいね!」と啖呵を切る。次回予告は宮崎弁の「せからしか!」で締めた。
「3代目は末っ子のドジキャラ的な部分もあり、それを2人の姉がサポートするという構成でした。エンディングテーマには三姉妹の名義で発売した『Remember』、浅香さんのソロ曲『STAR』などを起用。視聴率は20%を超える回もあったものの、全話の平均は前作にわずかに及ばない14.0%でした」(同)
斉藤は朝ドラを経て主演クラスの女優にステップアップしたこともあり、出演しなかったのがシリーズの集大成とも言える作品、初の劇場版「スケバン刑事」(87年公開)だった。離島に自ら創設した学園の学生を殺人兵器として洗脳し、クーデターを企てる元国防省の学園長(伊武雅刀)に、2代目と3代目のサキ、そして京子と雪乃が戦いを挑む。
「アクションはテレビ版よりもかなりスケールアップしています。2人のサキは通常バージョンのヨーヨーでいきなり敵のヘリを破壊。そして、2代目は西脇から届けられた新しい武器・新超密度合金製ヨーヨーで学園内に乗り込み大暴れします。そのヨーヨーは、重量は常時使用するヨーヨーの4倍、破壊力は16倍。その反面、使用者に対する衝撃が大きく、10投以上すると肩と腕の筋肉が破壊され再起不能に。そのため使用には60%までの衝撃を吸収することのできる専用のパッドを装着する必要がある……という恐ろしい武器です」(先の東映関係者)
この作品は配給収入(=興行収入から映画館の取り分を差し引いた映画配給会社の取り分のこと、当時は興行収入ではなくこちらの数字を公表)が6.3億円とヒットしたが、その後、風間三姉妹が主演の「スケバン刑事 風間三姉妹の逆襲」(88年公開)、さらに当時の人気アイドルだった松浦亜弥(38)がサキ役を演じた「スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ」(2006年公開)と、2作が公開されたが、いずれもヒットには至らなかった。
「スケバン」以降の三人
主要キャスト陣にとっては出世作となった同シリーズだが、その後はなかなかの人生経験を積むことにもなった。
「斉藤さんは90年代に尾崎豊さん、川崎麻世さんと不倫スキャンダルを報じられます。自分が既婚者で子供にも恵まれた17年には、W不倫を報じられたかかりつけの医師との関係を継続し、昨年離婚に至りました。南野さんも結婚後、元夫が金銭トラブルを何度も起こした挙げ句に逮捕され、23年に離婚。何の因果か、斉藤さんが不倫スキャンダルで降板したNHKの大河ドラマ『西郷どん』(18年)の代役は南野さんが務めました」(ベテラン芸能記者)
浅香は事務所との契約切れで芸能活動を休止。94年に別名義で写真集を発売したところ、前事務所と裁判沙汰になった(後に和解)。大西は98年に事務所が倒産。その際、多額の借金を背負わされ、写真集を出すことになる。
「中村さんは98年に元男闘呼組のメンバーで俳優の前田耕陽さんと結婚したものの、03年に離婚。06年に米国人の弁護士と再婚して2人の子どもに恵まれています」(同)
それでも、主演陣はまだまだ第一線で活躍中。麻宮サキ同様、そのたくましい生き様も含め、いまだに熱烈な支持を受けているのかもしれない。
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