「てめえら、許さねえ!」 40周年「スケバン刑事」がキワモノ扱いから大ヒット作に化けた理由

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当初はキワモノ扱い

 斉藤が主演のドラマ第1作「スケバン刑事」は85年4月にフジテレビ系でスタートし同年10月まで全24話が放送された。当初、別の俳優がキャスティングされていたというが他の作品と撮影時期がかぶったため降板。前年放送のCMでその美貌が注目された斉藤が抜てきされることになった。

「それまでの日本のドラマ史上において、刑事ものといえば『西部警察』(テレビ朝日)や『太陽にほえろ!』など、“男祭り”のドラマが主流でした。ところが斉藤さんのような美女が主演、しかも主人公は女子高生という、異色の設定の刑事ドラマということもあり、当初はキワモノ扱いされ、原作ファンからも不評でした」(当時を知るフジ社員)

 平均視聴率(=現在の平均世帯視聴率)は初回が13.3%(ビデオリサーチ調べ、関東地区、以下同)とまずまずだったものの、第5話で9.6%に下落。早期の打ち切りも検討されていたという。

「ところが、斉藤さんの容姿と役柄のギャップ。泥まみれになるなど、体を張ってのアクションシーン。東映制作とあって、派手な爆破もありと、特撮ヒーローを思わせる作風や独特の雰囲気が次第に好評を得て人気番組に。徐々に視聴率が回復し、第13話では、シリーズ中で最高の17.0%を記録。全話の平均は13.0%でした」(同)

 この年の2月に「卒業」で歌手デビューし、バリバリの清純派で売っていた斉藤が、ヨーヨーに組み込まれている桜の代紋(旭日章)を見せ、敵に向かって「鷹ノ羽学園2年B組麻宮サキ。またの名は(を)スケバン刑事!」と啖呵を切る。続けて、「スケバンまで張ったこの麻宮サキが、何の因果か落ちぶれて、今じゃマッポの手先。笑いたければ笑えばいいさ。だがな! てめぇらみてぇに魂までは薄汚れちゃいねぇんだぜ!」と、自分の怒りを鬼気迫る表情で敵にぶつける。清純派の斉藤に憧れたファンにとって、このギャップがたまらなかったはず。

 さらに、次回予告では「てめぇら、許さねぇ!」と叫びながらヨーヨーを投げつける映像で締める。この流れは歴代の「スケバン刑事」に受け継がれることになった。

 主題歌には斉藤の2枚目のシングル「白い炎」が起用された。

「森雪之丞さんが作詞、安全地帯の玉置浩二さんが作曲の『白い炎』は、なんと片思いしている男子生徒に告白できず、失恋した女子高校生の心情を歌っているのです。こちらもギャップがありましたが、ヒットしました。しかし、斉藤さんが86年4月から放送されたNHK連続テレビ小説『はね駒』のヒロインに抜てきされ、撮影スケジュールが合わずに終了することになったのです」(同前)

 同作で主人公以外にレギュラーキャストと呼べるのは、3シリーズ全てに出演することになる、サキをスケバン刑事に任命した故・長門裕之さん演じる「暗闇指令」だが、南野が演じた“2代目”からは共に戦う仲間がいた。

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