84歳“現役最高齢DJ”にして異例の9時間ハワイ生放送 「海外に行けない人」にも届けた小林克也のラジオ哲学
「知ったかぶり」は避けたい
小林の思いを受け止めたFM NACK5の片岡尚会長も「意義のある番組にしたい」と、ホノルルのワイキキビーチで110年以上の歴史を誇る、モアナ・サーフライダー・ホテルからの放送を提案した。1935年から40年に亘って米軍放送で流れた「ハワイ・コールズ」がスタートした“由緒ただしい”場所でもある。
「波の音をバックに、ハワイの音楽を中心に放送していた番組でした。日本でもFEN(Far East Network=極東放送網)で聴くことができて、ハワイの音楽が日本で人気を高めたのもこの番組がきっかけだったでしょう」
片岡会長も「40年続いた『ハワイ・コールズ』を超える番組にしたいという願いもこめて、今回はホテルのシンボルであるバニヤンツリーが望める1室からの生放送にしました」とコメントしている。
しかし、同時に小林は「僕がいくらハワイが好きだからと言って、それをリスナーに対して押し付けるような喋りはしたくない」とDJとしてのスタンスとこだわりを明かす。
「もちろん、ハワイの良さを知ってもらいたいけど知ったかぶりのような喋りは避けたい。日本人のパスポート保有者は国民の17%程度だって言いますからね、ハワイはもちろん海外に行きたくても行けない人も多い。だから今回も、普段と変わらない喋りを心がけました。そんな僕の言葉の中からリスナーが何かを自由に感じとってもらえるのが一番だし、この番組の魅力だと思う」
TUBE前田の参加は叶わず…
ちなみにこんなハプニングも……番組では当初、6月1日に結成40周年記念ライブをハワイで行った人気ロックグループ「TUBE」の前田亘輝も飛び入りでの出演を予定していた。ところが就労ビザの問題で、メンバーのハワイ入りが大幅に遅れる事態となり、ラジオ出演は急きょ、見合わせとなってしまったのだ。
さすがの小林も驚きを隠せず「生放送ならではのハプニングとはいえ、やっぱり残念」と振り返る。バラク・オバマ元大統領の出身地としても知られ、民主党の強い地盤とも言われるハワイ。ビザの厳格化への政治の影響も囁かれ“TUBEがその余波を受けたのではないか”という現地関係者の声も少なくなかった。
「番組の中で彼らの記念公演を盛り上げたかったし、せっかくハワイにいるのですから会いたかったんだけどね……。今回はワーキングビザの問題だから仕方ないけど、ただ、これも今の政権下でのトラブルのひとつという気がします」
なお、今回の放送は、全米唯一の24時間日本語ラジオ放送局として知られるハワイの「K ZOO(ケイズー)」とも連携し、日本とハワイで同時生放送(ハワイ時間は5月29日)された。「放送中の反響はいつも以上に多かったですね。ハワイの日系人の間でも小林克也さんの人気は根強いですし、K ZOOにとっても特別な放送になったと思います」(関係者)という。
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