「プロデューサーから“お風呂入った?”とかセクハラが」「降板理由は…」 今だから話せる「Gメン75」ウラ話 藤田三保子×倉田保昭

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遅刻すると丹波が「10時に始める方が悪い!」

藤田 一度遅刻しちゃった。朝10時にスタジオ集合の日、起きたら10時だった。すっぴんのままタクシーを飛ばして着いたら、その日に限って丹波さんがいたの。

倉田 出番が少ない丹波さんは不在が多いのにね。

藤田 慌ててメイクをしてからセットに出ると、丹波さんが、

「おい、三保子、昨夜は何時に終わったんだ?」

「午前3時です」

「なに? それじゃあ、10時に始めるほうが悪い!」

 そう言ってくれて現場が笑いに包まれて、救われました。スタッフもヘトヘトだから、「俺たちも同感だ」という温かな反応だった。

倉田 丹波さんには、やさしいところがあったよね。僕は、芝居が下手だと言われたことがあってさ。

「倉田、お前の芝居は揺れているんだよなあ。でも、下手なままでいい。ただし、ギャラは多くもらえ」

 そう言われた。

藤田 どういうこと?

倉田 ギャラを多くもらえば、きっと金額に見合う俳優になるから、って(笑)。

藤田 ああ、なるほど。

倉田 撮影中、丹波さんとのからみで僕がうまくできないときがあるでしょ。すると、目で「頑張れ!」って励ましてくれる。うまくやると「よく頑張ったな!」という目線をくれる。

藤田 そういう人だったね。

倉田 うまくやれないと嫌な顔をする大物俳優もいるけれど、丹波さんは違った。

「オレは2回ほど天国に行ってきた」

藤田 ゲストの女優さんが来ると、丹波さん、必ず自分の膝に乗せていたでしょ。

倉田 やっていたね。

藤田 若い女優さんはもちろん、ベテランでも、全員お尻をさわっていた。あれ、最初は今でいうセクハラだと思っていたけれど。

倉田 セクハラではあったと思うよ、今ならね。

藤田 膝に乗せて「お前には背後霊がいる」って言う。すると、みんながゲラゲラ笑うでしょ。ゲストにとっては慣れない現場なので、緊張をほぐしてあげていた。実はとても繊細な方だから。

倉田 繊細ではあったね。

藤田 私、突然、こんなことを言われたよ。

「三保子、オレには隠し子がいるんだ」

 からかわれていると思ったけれど、しばらくして報道で事実だと知った。

「三保子、お前は天国へ行ったことはあるかい? オレは2回ほど行ってきた」

 とか、霊界のことも大真面目に話してくる。

倉田 三保子ちゃん、Gメンのしばらく後、丹波プロダクションに入ったでしょ?

藤田 お願いして、拾ってもらったの。安心でしょ。

倉田 人をだますことはしない人だからね。

藤田 芸能界は生き馬の目を抜くような人がごろごろいる世界だけど、丹波さんは人として信頼できた。

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