「TOKYO VICE」原作者が語る渡辺謙のプロ精神 「彼の提案したセリフが採用されることも」

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ヤクザの描き方問題

 海外の演出担当者たちは、ヤクザが刑事や警察官に怒鳴り声を上げて殴りかかったり、胸倉を掴んで喰ってかかるような暴力的なシーンの撮影を欲したという。

「でも、本物のヤクザは絶対に警官を殴ることはしません。せいぜい顔を相手の鼻先に近づけて“覚えとくぞ”とささやくようにすごむ程度。また、警察が暴力団事務所に強制捜査に入るシーンでは、刺青をあらわにしたチンピラたちが制服警官や機動隊員に襲いかかるような演出があったので、すぐに“あり得ない”とNGを出した。だって公務執行妨害で逮捕されたら終わりですから」

 当の新聞記者・ジェイク役を演じるのは、ハリウッドで活躍する若手のアンセル・エルゴート(28)だ。

「彼は素直なナイスガイで、“ボクのことは気にしないで自由に演じて下さい”と伝えても、気が付くとこちらをずっと観察している。そのせいか、放送を見たボクの娘は“困って頭を掻く仕草とか、怒って興奮している姿はパパそっくり”と感心していましたよ」

 原作はすでに25カ国語に翻訳されており、アメリカではドラマのシーズン2の制作が決定している。

週刊新潮 2022年6月23日号掲載

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