タモリも堺雅人も通った早稲田「メルシー」のいま 原材料高騰とコロナを61歳「店主」が語る

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 東京・新宿区の早稲田にある老舗ラーメン店「メルシー」といえば、早大OBの心のふるさととも呼ばれる。コロナ禍も収まりつつあり、ようやく学生たちも大学に戻って来たと思ったら、今度は物価高に襲われている。特にラーメン店にとって小麦の高騰はメニュー価格を直撃する。メルシーのご主人に、現状を聞いてみた。

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 創業64年目を迎えた「メルシー」のドアを開けると、懐かしい壁掛け式の扇風機が目に入る。その壁にはメニューが貼ってある。看板メニューのラーメン(500円)は、煮干しダシの効いた正統派の東京ラーメンだ。都内ではかなりの低価格と言っていいが、それでも値上げに踏み切ったと2代目ご主人の小林一浩さん(61)は言う。

小林:今年1月に麺の仕入れ値が上がったんですよ。これまでもずいぶん頑張ってくれていたと思うけど、仕方がない。うちは先代の時から、美味くて、ボリュームがあって、安く提供してきたけれど、学生街だから美味いのとボリュームは落とせない。やむなく、価格を上げることにして、ラーメンも450円から500円に。

――早稲田の学生の胃袋を満たしてきた老舗飲食店は様々あるが、最近はたたむ店も少なくない。蕎麦とカツ丼の三朝庵、さんやラーメンの西北亭、洋食のエルム、天ぷらのいもや……。

小林:ご主人が体を壊したり、後継者がいなくてやめざるを得なくなったところが多いようです。実はうちも、ネット上で閉店の噂が広まったことがあるんですよ。色々な古い店が閉店しているという記事がきっかけでした。最後にメルシーは頑張ってる、と書いてあったんですが、なぜかメルシーも閉店という話になったらしい。早大OBのお客さんが、わざわざ来てくれたり、電話してきたりと心配してもらいました。

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