DEAを欺いた「日本のヤクザ親分・エビサワ」は本物の闇商人だったのか? 米司法当局がウラン密輸容疑で追起訴 知人は「栃木県の2DKアパートに住むチンケな詐欺師」

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俺は日本のヤクザだ

 B氏も16年前に海老澤容疑者と知り合い、10年あまりの間に1500万円も騙し取られた被害者だ。

「パラサイトみたいな男です。ちょっとでも小金を持っているなと思ったら、食いついて離さない。『両替がうまくいけば数億円が入る』と持ちかけられ、タイや香港で一緒に過ごしたことがあります。いつになったら動くのかと待ち続けていましたが、奴はずっとホテルでゴロゴロしているだけ。その間の滞在費は、全部こっち持ちです。驚いたのは、彼が騙していたのは私たち日本人だけじゃないんです。現地にいる外国人たちも『いつになったらカネを作るんだ』と彼に詰め寄ってくる。彼らもデタラメ話を信じ込んでいるんです」

 今回、DEAは、覚せい剤の密輸に関わったとして、タイ人マフィアのソンポップ容疑者を逮捕しているが、A氏、B氏ともに、数年前に海老澤容疑者から紹介されて会ったこともあるという。

「ソンポップも騙されていたんですよ。海老澤は彼に『俺は日本のヤクザだ』とずっと吹聴していました。たぶんソンポップは、アメリカに覚せい剤を持ち込むことができたのですから本物のマフィアだったのでしょう」(B氏)

10年前から使っていた「bamboo」

 今回、DEAは起訴状の中で、海老澤がおとり捜査官にSNSで送った「武器リスト」も公表しているが、2人とも10年前に同じようなものを目にしている。起訴状には、海老澤らが武器を“bamboo(バンブー)”という隠語で呼んでいたと記述されているが、B氏が見せてくれた2010年に海老澤から送られてきたというメールの題名にも、「The price list of bamboo」とあった。添付のPDFファイルには、起訴状に載っているものと似た武器リストも記されていた。

「海老澤にとってバンブー取引は、昔から使っていたネタの一つに過ぎなかったのです。私自身、10年くらい前に、ミャンマーに支配されたシャン族の人物が、『独立を考えているので武器が欲しい』と海老澤に持ちかけている場に同席したことがあります。ただ、取引は進みませんでした。海老澤は、武器を購入するルートなど持っていなかったからです。ヤツの様々な手口を目の当たりにしてきましたが、全部がウソ。架空の話を持ちかけてカネを騙し取るのが手口です。もしかしたら、今回、彼はDEAが扮した武器商人を相手に初めてまともな取引をしようとしていたのかもしれません」(A氏)

息子は慶応→超有名企業に就職

 こんなデタラメな人生を送りながらも、驚くべきは海老澤容疑者が所帯を持っていたことである。

「数年前まで、奥さんと子供2人の4人で、2DKのアパートに暮らしていましたよ。実は、上の男の子は慶応大学に進学し、誰もが知る超有名企業に就職しています」(A氏)

 最後までヤクザ幹部だと信じ込んでいたDEAの覆面捜査官は、「エビサワ」の本当の姿を知ってどう思うのだろうか。

デイリー新潮編集部

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