疲労軽減物質「イミダペプチド」を多く含む食品は? 鶏むね肉が発揮する驚きの効果
マスクを着けると…
実際、私の同級生が兵庫県の姫路市長だった縁で、市庁舎内のエアコン設定温度を28度から25度に下げる実験を行ったことがあります。結果は実験を開始してから1カ月半で、残業時間が4万時間減って人件費が4千万円も節約されました。残業が減ったのでオフィスの電気代はほとんど変わらず、結果的にエコになることも実証されました。何より、働く人たちのパフォーマンスが上がり労働時間が減るわけですから健康にもいい。
日本人の多くは、もったいないからエアコンの設定温度は高めにしようと考え、場合によっては切ったりしてしまう人もいますが、とても愚かなことだと思うのです。設定温度を下げることは、長期的に考えればエコだし経済的なのは言うまでもありません。
世界に目を転じても、シンガポールやインドのムンバイ、アラブ首長国連邦(UAE)のドバイなど“暑い都市”では、エアコン普及以前は労働者のパフォーマンスが低かったわけです。気温30度超えが日常茶飯事では、働く気が起きないのも分かります。
ところが、エアコンが普及していくのと同時に、これらの都市はここ10年、20年で急速に経済発展を遂げていったのは皆さんご存じのとおりです。シンガポールのリー・クアンユー元首相は、「私は建国の父と呼ばれているが、一番の功労者はエアコンだ。それがなければ、誰がこの国で真面目に働こうとしただろう」という趣旨のスピーチを行ったくらいです。
もしオフィスや部屋をエアコンで24度前後に冷やせない環境にいる方であれば、30分に1回の頻度で冷たい空気を吸うことが大切です。コロナ禍では皆さんオフィスワークでもマスクを着用していますよね。マスクを着けていると、自分の吐いた息の影響で鼻に入る空気の温度が1度くらい上がってしまいます。なので、マスクを外して冷たい空気を吸っていただきたいと思います。
鼻は脳にとっての冷却装置(掲載の図参照)で、冷たい空気を吸うことによって自律神経の中枢をクールダウンする効果が期待できます。いわばパソコンの内部を冷やすファンと同じ役割を担っていて、鼻腔の部分で熱交換して脳を冷やしてくれるのです。
あくまで冷たい空気を吸い込むことが重要なので、脳を直接冷まそうと額に冷たい布などをあてがっても、自律神経中枢である脳の中心部をクールダウンすることはできず、効果がないのでご注意ください。
そもそも脳は体の中で最も発熱が激しいところで、その分、自律神経などへのダメージも大きくなります。ですから、エアコンの効いた部屋で過ごすことが重要であり、鼻に冷たい空気が入る環境にいれば、体にも負担が少なく集中力も高まり、一石二鳥です。
誰しも鼻がつまると、頭がボーッとする感覚に襲われた経験があると思います。それは鼻から冷たい空気を吸うことができず、脳が高温状態になってしまうから。きちんと鼻に冷たい空気を通すことを実践していただくことで、自律神経の負担も減って夏バテも防げるというわけです。
もう一つ、コロナ禍で適度な運動を行うことは、自律神経をいたわるという意味で推奨しています。
体にとって適度な運動、適度な刺激、適度な負荷は寿命を延ばすともいわれています。しかし、皆さんが思われている「適度」という言葉のふれ幅が大きい。
たとえば、自律神経の機能が20代の半分以下になってしまう45歳以上の方、中高年世代に限っていえば、週3~4回の頻度で30分ほどの軽い運動が好ましいとされています。人によって適度とされる運動強度は異なりますが、運動中に会話が楽しめる程度のイメージで続けていただくのが望ましいです。
特に、筋トレは心臓にそれほど圧力がかからず、自律神経への負担になりにくい運動です。一番怖いのは、サッカーやテニスのように、全速力で走って急に止まることを繰り返す運動。動きの多いハードなスポーツは、自律神経機能の低下した中高年者においては、命を縮めるだけなのでお勧めできません。
ハードな運動をすれば自律神経の細胞は活動が活発になり、結果的に酸素をたくさん消費して活性酸素が作られることで錆びついてしまいます。簡単にいえば、酸素を吸えば吸うほど錆びが酷くなっていくので、運動は適度でいいというわけです。
長距離選手などハードな運動を続けてきたアスリートは寿命が短いというデータもあります。ハードな運動をすることで、心身共にリフレッシュできたと感じる人もいると思いますが、それは、過労死を引き起こすメカニズムと同じで、楽しさややりがいを得ることで疲労を感じなくなっているだけ。いわゆる「ランナーズハイ」は、疲労が蓄積するだけでなく、心筋梗塞や脳卒中のリスクも高めてしまうことになります。
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