疲労軽減物質「イミダペプチド」を多く含む食品は? 鶏むね肉が発揮する驚きの効果

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 秋雨前線の影響で肌寒い日々が続き、夏も終わりかと思えば、さにあらず。再び暑い日々がやってくるという。ただでさえ夏の疲れが出やすい季節、あなたの体調管理は万全だろうか。「疲労の正体」を探る特集の第2弾では、疲れに効く具体的な処方箋をお届けする。

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〈夏バテに代表される「疲労の正体」と、その対処法に迫った前回に続き、今回は疲れないための残暑の過ごし方をより具体的に提案したい。伝授してくださるのは、長年「疲労科学」を研究する医学博士で、大阪市立大学大学院疲労医学講座特任教授等を歴任し、現在、東京疲労・睡眠クリニック院長を務める梶本修身氏だ。〉

 疲労は身体の栄養不足や筋肉を酷使することで起こるよりも、人間が活動することで体内の細胞から生み出される活性酸素によって引き起こされます。この活性酸素が脳にある自律神経の機能を低下させ、疲労が生じる上に老化が促されてしまうのです。

 元来、自律神経は心拍、血圧、体温調整や呼吸調整などを司っています。活性酸素の影響から自律神経を守ることができれば、夏バテも予防できるわけです。

 突然ですが、皆さんは夏場に家の中でどんな格好をしていますか。半袖に長ズボンといった組み合わせを部屋着にされる方もいると思いますが、その格好で寒くない程度に涼しく過ごすことをお勧めします。

 夏バテを防ぐには、自律神経の中枢が含まれる脳に適した温度で過ごすことが重要です。欧米人に比べて日本人は筋肉量が少ないので全体的に寒がりで、特に女性の方がより寒がる傾向にあります。

 片や外国人、特に欧米系は筋肉が豊富な体格をしている人が多いので寒さに強く、実際に外資系のホテルやオフィスの冷房は日本人だと寒く感じるほど低い温度に設定されています。

 ところが、実は「脳に快適な温度」というのは日本人も欧米人も変わりません。厳密には湿度により異なりますが、24度前後が最適とされています。しかし、日本でその温度にエアコンを設定すると、大抵の人は寒がるのではないでしょうか。

 女性の場合や、男性でも高齢で筋肉量が落ちてしまっている方であれば、なおのことエアコンの設定温度は28度くらいが快適だと感じて、脳にとって最適な24度前後だと寒いと感じてしまうと思います。

 けれど、体に適した温度と脳に適した温度は違うということを理解した上で、24度前後でも寒いと感じない格好をするなどして補って欲しいのです。

 体が寒さを感じると、どうにかして温めようと自律神経が活発化してしまいます。それによって疲労を引き起こすことになっては意味がありません。できるだけ脳の快適温度に合わせて衣服を調整してほしいと思います。

 高齢者の中には、それを電気代がもったいないと考えて、抵抗感を持つ方もいるでしょう。エアコンをつけない方もいますが、そうなれば熱中症や脱水症状を起こす可能性が高まってしまうのは言うまでもありません。脳にとって快適な温度で過ごさないと夏バテになって元気がなくなり、思うように活動できず、結果的にもったいない日々を過ごすことになってしまう。

 ちなみに厚労省が発表している熱中症の警戒温度は25~28度ですし、アメリカの調査データでも26度を超える作業場で仕事をする場合、気温が1度上昇する毎に2%ずつ作業効率が低下することが証明されています。日本でクールビズが盛んに言われ出した当初は、そうしたメカニズムがまだ分かっていなかったこともあって、エアコンの設定温度は28度が推奨されていましたが、少なくとも今はそれよりも下げることを提案したいと思います。

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