【全裸監督】村西とおるが惚れた、女優「乃木真梨子」の純情

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前科7犯、借金50億

 前科7犯、借金50億円――。バブル全盛の1980年代、時代を駆け抜けた異才・村西とおる。その波乱万丈の半生は、2019年に山田孝之主演でドラマ化、Netflixで世界190カ国に配信され、まさに全世界を熱狂させた。その「全裸監督」のシーズン2が、この6月、配信予定だという。

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 山田のほか、満島真之介、小雪、國村隼、リリー・フランキーといった個性派が顔をそろえたシーズン1。続くシーズン2では、渡辺大知、MEGUMI、西内まりや、そして宮沢りえ、石橋蓮司が加わることが、先ごろ、発表された。

 中でも新ヒロインとして注目されているのは、恒松祐里だ。6歳でデビュー、すでに16年のキャリアを持つ恒松だが、彼女が演じるのは「乃木真梨子」。1990年暮れにデビュー、村西監督率いるダイヤモンド映像を代表した女優である。

 村西と30年来の付き合いがあるノンフィクション作家・本橋信宏氏は、乃木を初めて見た際の印象をこう記す。

〈(村西の会社が入る)洋館を訪れた私は、らせん階段を下りるとき、下から上がってくる見知らぬ女性とすれ違った。

 黒髪を巻き、白く透き通るような素肌、憂(うれ)いを秘めた双眸(そうぼう)、男心を惑わすような唇。

「ああ! 本橋君。誉(ほ)めたらこいつはずっと聴き惚(ほ)れてるからな。ダメだぞ、誉めちゃ」

 洋館の主、村西とおる監督が吠(ほ)えた〉(『全裸監督―村西とおる伝―』より、以下同)

村西を“愛する”専属女優たち

 当時、乃木は20歳。秋田県から上京し、それまでは大手化粧品メーカーで美容部員をしていた。「うちの専属女優になってほしい」と村西に懇願され、ビデオ「涙が流れるほど良かったから一生忘れない」でデビューしたばかりだった。

 当時、ダイヤモンド映像は何人もの〈絢爛(けんらん)豪華な専属女優たち〉を擁し、東京都渋谷区の一等地・代々木上原に建てたこの洋館と合わせ、都合三つのビルを十億円で購入していた。〈(本社ビルは)不夜城と化し、観光バスが近くまでやってきて、きらびやかなダイヤモンド映像専属女優たちをひと目見ようと若者がうろつい〉ていたという。若者を熱狂させたその一人が、乃木真梨子だった。

 村西と、村西を“愛する”専属女優たちから成る「村西王国」。乃木の登場は、そうした「村西王国」に微妙な変化をもたらした。そのストレスを発散させるかのように、乃木は高価な買い物を繰り返すようになる。

 本橋氏によれば、乃木は「ダイヤモンド映像のイメルダ夫人」との異名を持つようになったという。イメルダ・マルコス――、私腹を肥やし、宮殿では贅(ぜい)の極みを享受。1986年にフィリピンから追放された大統領夫人の名だ。

「どうしておれと結婚したんだ?」

〈傾城(けいせい)の美女という言葉がある。

 一国が傾くほど王様が統治のことを忘れ、夢中になってしまう美女が、乃木真梨子であった。

 乃木真梨子は金の切れ目が縁の切れ目と、まっさきに村西監督から離れるものと、周囲は思っていた〉

 翌91年春、バブル崩壊。村西王国の終焉も始まる。銀行がダイヤモンド映像との取引を停止し、同社が倒産するのは翌年のことだ。負債総額は何と、50億円。

 しかしその後も、周囲の予想を裏切って、乃木は村西のもとを離れることはなかった。そして村西と結婚、1児をもうける。

 村西は乃木との結婚について、本橋氏のインタビューにこう答えている。

〈おふくろが亡(な)くなったとき、ちょっと時間があったから、どうしておれと結婚したんだ? ってうちの女房(乃木のこと)に聞いてみたんだ。そしたら、「鏡見てて、シワが1本ぴーんと入ったのがわかったから」って言うんだね。これからはもう綺麗(きれい)さ、可愛(かわい)らしさで勝負できない。もうやーめたってことだよ〉

 あのバブルの時代、業界を牽引した村西と乃木。二人が授かった息子はその後、有名進学校に通っている。

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デイリー新潮編集部

2021年4月27日掲載

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