ラムザイヤー教授「慰安婦論文」を批判するハーバード大学教授は文献を読めていないのではないか(後編)

国際 韓国・北朝鮮 2021年4月6日掲載

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誤解か誤読に基づいている

 前回に引き続き、ハーバード大学のマーク・ラムザイヤー教授が発表した「慰安婦」についての論文への批判の検証である。

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 それにしても不思議なのは、彼らがラムザイヤー教授の論文「太平洋戦争における性契約」(以下、ラムザイヤー論文とする)の註にある次の「内務省文書」を読んだと主張していることだ。

 これは当時、日本の内務省が、日本から中国に渡って売春を生業としようとしている女性の扱いについての注意点をまとめた文書である。

 そういう女性の存在の必要性を認めながらも、人身売買や誘拐などが起きないように厳しく取り締まっていたことがわかる内容となっている。

 つまり日本政府が無理やりにそういう女性を連行して働かせたり、奴隷的な扱いをしたりしたということが無いことがよくわかるのだ。

 ところが、批判者たちは、「強制連行」「性奴隷」こそが正しいと主張し、だからラムザイヤー論文は間違っている、と糾弾している。

 冷静にこの文書を丁寧に読むと、批判者たちの主張は、誤解か誤読に基づいていると言っていいように思える。

 結果として彼らの日本語読解力に疑問を抱かざるを得ないのである(長いので後半部分を先に読んでいただいてもいいし、この部分を読み飛ばして筆者の文章に進んでも理解はできると思う)

「内務省文書」

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「支那渡航婦女の取り扱いに関する件」昭和十三年二月二十三日内務省警保局長 各庁府県長官宛て
最近支那各地に於ける秩序の恢復に伴い渡航者著しく増加しつつあるも是等の中には同地に於ける料理店、飲食店、「カフェー」又は貸座敷(筆者注・売春所のこと)類似の営業者と連繫を有し是等の営業に従事することを目的とする婦女寡なからざるものあり更に亦内地に於いて是等婦女の募集周旋を為す者にして恰も軍当局の諒解あるか如き言辞を弄する者も最近各地に頻出しつつある状況にあり婦女の渡航は現地に於ける実情に鑑みるときは蓋し必要已むを得ざるものあり警察当局に於いても特殊の考慮を払い実情に即する措置を講ずるの要ありと認めらるるも是等婦女の募集周旋等の取締にして適正を欠かんか帝国の威信を毀け皇軍の名誉を害うのみに止まらず銃後の国民特に出征兵士遺親に好ましからざる影響を与うると共に婦女売買に関する国際条約の趣旨にも悖ること無きを保し難きを以て旁〃現地の実情其の他各般の事情を考慮し爾後之が取扱に関しては左記の各号に準拠することと致度依命此段及通牒候

                   記

一、醜業を目的とする婦女の渡航は現在内地に於いて娼妓其の他事実上醜業を営み満二十一歳以上且花柳病其の他伝染性疾患なき者にして北支、中支方面に向かう者に限り当分の間之を黙認することとし昭和十二年八月米三機密合第三七七六号外務次官通牒に依る身分証明書を発給すること

二、前項の身分証明書を発給するときは稼業の仮契約の期間満了し又は其の必要なきに至りたる際は速に帰国する様予め諭旨すること

三、醜業を目的として渡航せんとする婦女は必ず本人自ら警察に出頭し身分証明書の発給を申請すること

四、醜業を目的とする婦女の渡航に際し身分証明書の発給を申請するときは必ず同一戸籍内にある最近尊族親、尊族親なきときは戸主の承認を得せしむることとし若し承認を与うべき者なきときは其の事実を明らかならしむること

五、醜業を目的とする婦女の渡航に際し身分証明書を発給するときは稼業契約其の他各般の事項を調査し婦女売買又は略取誘拐等の事実なき様特に留意すること

六、醜業を目的として渡航する婦女の其の他一般風俗に関する営業に従事することを目的として渡航する婦女の募集周旋等に際して軍の諒解又は之と連絡あるが如き言辞其の他軍に影響を及ぼすが如き言辞を弄する者は総て厳重に之を取締ること

七、前号の目的を以て渡航する婦女の募集周旋等に際して広告宣伝をなし又は事実を虚偽若しくは誇大に伝うるが如きは総て厳重(に)之を取締ること又之が募集周旋等に従事する者に付ては厳重なる調査を行い正規の許可又は在外公館等の発行する証明書等を有せず身許の確実ならざる者にはこれを認めざること

以上
『従軍慰安婦資料集』102~104頁

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