「どんなふうに私を楽しませてくれますか」 婚活デートにおける女高男低の実態
石神賢介 57歳からの婚活リアルレポート ライフ 2020年12月5日掲載
食事をお付き合いいただくという意識
概して、女性は食べることにこだわる。もちろん僕も食べるのは好きだが、初対面の相手にできるだけいい店でご馳走になろうという発想はない。不味いよりはおいしいものを食べたほうがいい。にぎやかな居酒屋よりは落ち着いて会話ができるレストランのほうがいい。そう思う程度だ。しかし、そうでない女性は少なくない。
婚活サイトでマッチングした女性と食事をする場合、苦手な食べ物を確認したうえで、イタリアン、フレンチ、和食、アジアン……など、それぞれお店を提案。そのなかから女性に選んでもらった。
「どこも行ったことはあるから、知らないお店に連れて行ってほしいなあ」
そんな返事が返ってくるケースも少なくない。
やり取りの途中でばかばかしくなってくる。会ったこともない相手になんでここまでご奉仕しなくてはいけないのか……。疑問がわく。
「おいしいお店なんだからいいじゃないですか」というメッセージを書きたい気持ちをぐっと抑え、それが婚活市場における僕の商品価値だと自分に言い聞かせる。
そもそも古今東西、ほとんどの男は、程度の違いはあっても、努力に努力を重ねて女性の気持ちを自分に向けさせてきたはずだ。織田信長だろうが、ジュリアス・シーザーだろうが、女性への悩みを抱えていただろう。それを思うと、僕ごとき、この程度の努力は当然だ。
スタートの段階で、男女の関係はイーブンではない。57歳、バツイチ、収入が不安定なフリーランス、容姿は並以下なのだ。食事をお付き合いいただく、という意識で臨まないと、2度目、3度目と継続して会ってはもらえない。
[2/3ページ]