「池江璃花子」が電通の頼みを断れない理由 兄が電通に入社で…

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 お堅い一般紙に〈池江 帰って来たぞ〉との見出しが躍る。暗い世相の中、数少ない明るいニュースとして取り上げられるのが、池江璃花子(20)の回復ぶりである。先日もレースへ復帰し、見事な泳ぎを見せたが、こうなれば、また一抹の不安が……。その「明るさ」が、思惑ある大人たちに利用されまいか。

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「正直、これほど結果を出すとは思いませんでした」

 と驚くのは、ミュンヘン五輪100メートル平泳ぎ金メダリスト・田口信教氏である。

 8月29日に行われた、競泳の東京都特別大会。ここで池江は1年7カ月ぶりにレースに復帰。50メートル自由形で26秒32をマークし、組の1位でゴールした。

 池江が練習に復帰したのは5カ月前のこと。以来週4日の練習を積み、このレースに臨んだという。

「筋力はかなり落ちたと思いますが、脂肪も落ちた分、リカバリーできたのでしょう。腕や脚の筋肉は3カ月もトレーニングすれば取り戻せます。これからもっとタイムは上がっていくのではないでしょうか」(同)

 というから、喜ばしいことこの上ない。

 他方で、池江は抗がん剤投与、造血幹細胞移植という過酷な治療に耐えてきた身であるのも事実。目標というパリ五輪にはまだ4年もあるし、こんなに早く復帰して大丈夫なのか、と心配する声が根強いのもまた当然だ。

実の兄も…

「いまは寛解期。完治していない以上、実戦復帰は早いかなとは思います」

 とは、医療ガバナンス研究所の上昌広理事長。

「水中は感染症に罹るリスクが高い。白血病治療でも、骨髄移植を受けた患者がプールに入る時期は、可能な限り遅らせた方が良いというのが常識です。骨髄内にある造血幹細胞移植を受けた池江選手にもそれなりのリスクはあるでしょう」

 とした上で、

「ただ、主治医から説明を受けた上で、何が何でも、と出場したはず。リスクとの天秤を十分理解した末での行動でしょうから」

 となれば、せめて競技に専念し、他の雑音には耳を貸さないでほしい、と思うのが人情だ。何しろ周りには彼女を利用しようとする大人たちがウヨウヨ。その筆頭がなべおさみであることは繰り返し報じてきたが、

「組織委員会も同じです」

 とはさる水泳連盟関係者。

「来年の五輪開催について、世論調査をすると否定的な意見が6割に上る。これを何とか挽回したいと考える組織委員会は、池江さんの人気にすがってきました」

 7月、五輪1年前を記念して開かれたイベントに池江が登場し、新国立競技場で聖火が灯されたランタンを掲げ、メッセージを朗読したのは記憶に新しい。

「今度は聖火ランナーに起用しようなんて声も。最終点火者にふさわしいという意見も出ています」(同)

 コロナの折にあえて人前に立つリスクに晒されるわけだが、池江にしても、これを無下にできない“事情”があるという。

「池江さんのマネージメント会社が電通グループなのは知られていますが」

 とは、また別の水泳連盟関係者。

「実は、池江さんのお兄さんもこの春、電通に入社しているんです。お兄さん自身、早稲田の水泳部出身の強豪選手で、新聞局に配属された。“俺が妹に水泳を教えたんだ”が自慢だとか。家族まで世話になっているので、組織委員会を仕切る電通から“お願いします”と頼まれれば、彼女が断りづらいのは想像に難くない」

 レース後、「第二の水泳人生が始まる」と述べた池江。大人たちよ、どうかその歩みに「水を差す」ことなかれ。

週刊新潮 2020年9月10日号掲載

ワイド特集「手に負えない輩」より

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