コロワイド、大戸屋プロキシーファイトに敗れて…前門の虎と後門の狼

ビジネス 企業・業界 2020年7月6日掲載

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 昨年、大戸屋ホールディングスの株式を取得して筆頭株主となり、業務提携などの株主提案を行ってきたコロワイド。6月末の大戸屋の株主総会で提案は否決、コロワイドには19・1%の大戸屋株が残る。進むも退くも地獄の道のりが見えると指摘するのが会計士界のレジェンド、細野祐二氏である。一方で、大戸屋の株も6月26日から7月3日までの間に、20%以上下落している。今後についてレジェンドが綴る“予言”――。

 6月25日木曜日、定食店「大戸屋ごはん処」を展開する大戸屋ホールディングスの株主総会が開催され、コロワイドの株主提案は否決された。コロワイドは、2019年10月1日、大戸屋の創業家より大戸屋株を取得して筆頭株主となり、その後、2020年4月14日付で、コロワイド側取締役の選任と業務提携を株主提案していたのである。

 この株主総会を巡っては、コロワイド側が2万4000名をこえる大戸屋株主宛にアンケートを行い、一方、大戸屋経営陣は、従業員やフランチャイズ加盟店の動員、並びに、個人株主への電話攻勢を行うなど、熾烈なプロキシーファイトが展開されていた。コロワイド側アンケート調査によれば、コロワイドの株主提案に対して有効回答数1万8891名の9割を超える賛同が得られたとのことである。しかし、蓋を開けてみれば、コロワイドの株主提案に対する株主総会での賛成は3割強に過ぎなかった。ということは、大戸屋の個人株主の76%(=アンケート賛成90%-株主総会個人株主否決14%)は、コロワイドには株主提案に賛成と回答しながら、株主総会では反対の議決権を行使したことになる。

 コロワイドが大戸屋の個人株主に対するアンケート調査を行ったのは3月23日から4月13日までの約20日間である。大戸屋の株主総会は、コロワイドのアンケートから2カ月以上経った6月25日のことである。大戸屋個人株主の合理的投資行動を前提とすれば、この2カ月超の間に、コロワイド側株主提案を逆転させる何事かが起きたに違いなく、それは5月22日に公表されたコロワイドの決算短信しかありえない。

 コロワイドが5月22日に公表した2020年3月期決算短信は、連結売上収益が、事前の公表予想値2580億円に対して2353億円と8・8%の減収、連結株主帰属当期利益は、事前の公表予想値25億円の黒字に対してマイナス64億円で過去最大の赤字と、壊滅的な減収減益決算となった。この赤字決算は、コロナウイルス拡散に関する減損損失を主たる原因とされている。しかし、コロナウイルスによる業績への深刻な打撃は外食産業ではどこも同じことで、この中で、大戸屋の個人株主は、5月22日以前のコロワイドの業績予測を前提としてアンケートに答えている。ならば、大戸屋の個人株主は、「さすがは東証1部上場のコロワイドは違う」とばかりに、コロワイドの株主提案を大戸屋に対する救済提案と捉えたのではないか? しかし、決算短信により、コロワイドの財務内容は大戸屋以上に悪いことがバレてしまった。ならば、コロワイドなどという強面のする経営ではなく、気心知れた現経営陣の方が良い。大戸屋の株主総会におけるコロワイド側株主提案逆転否決の背景は、共に難ある経営間の劣後選択ではなかったか?

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