「けっきょく人は不倫をする生き物」三浦瑠麗が考える男と女の違い

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瑠麗さんに訊け――第4回(全5回)

 著書『私の考え』の刊行を記念して、素朴な疑問や人生の悩みを国際政治学者の三浦瑠麗さんにぶつけてみる本企画(瑠麗さんに訊け)、第4回のテーマは「恋愛」「不倫」「ペット」。夫、娘、犬1匹、猫1匹という家族構成の瑠麗さん独自の恋愛観とペット観とは――。

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女は恋愛にはまってしまうもの

Q:以前に、瑠麗さんはある俳優の不倫騒動に対して、「一夫一妻制を守る努力は人間にとって壮大な無駄」と発言なさいましたよね。私も同感です。まわりに不倫してる人なんていっぱいいます。でも、なんで不倫ばっかりする人がいるんですかね? いつかそういう人も不倫をやめられるんでしょうか。それと、瑠麗さん自身は、例えばどんなタイプの人とだったら不倫してもいいかなと思いますか。
(30代・女性・教員)

A:そもそもですね……スポーツ紙はそう報じましたが、「一夫一妻制を守る努力は人間にとって壮大な無駄」と言ったのは、私ではなく夫なんです。大きくは間違っていないと思うのでいいんですけれど。それに、彼が言ったのは正確には「守る努力」ではなくて「守らせる努力」だったんですが。つまり、不倫騒動が起きるたびに「不倫警察」みたいなものがでてきますが、けっきょく人は不倫をする生き物なんですから、そんなの無駄ですよね?という話なんです。

 男性の場合は、不倫に肉体関係や優しくされたいという意味でのパートナーシップを求めることが多いように思います。でも、女性はやっぱり恋愛をしたいんですよね。しかし、男性というのはどうも恋愛仕様にできていない。その報われなさ、満たされなさが、短期で不倫から不倫に乗り換えて、その都度フレッシュな恋愛を求める女性を生んだりするわけです。

 ところが、いくらそうやって男を換えてみたところで、男っていうものはそう変わらない(笑)。そうやってだんだん年を取っていくと、人間全体に対する諦めが芽生えるというか、男女ともに人間としての哀しみを共有するようになっていく……というのが人生ではないでしょうか。

 それと、「どの人にしようかな?」って不倫することなんてありますか? 「計画的不倫」なんてものがあるなら……それはセフレなのではという気がしますが。

 もしもあなたが楽しめるライトな関係を求めているのであれば、それは悪いことではありませんので、よき男性とよき関係を結べばよいのではないでしょうか。お互いにお互いを利用する、ということですから優しい関係でいられるかもしれませんね。

 でも、女はそうこうしているうちに恋愛にはまってしまうもの。与えられる愛の深さに相手が応えられない器量であることをよくよく見抜いたうえで、それでも恋愛をあきらめきれないのが女というものです。そういった恋愛をするならば、毎度ひどく傷つくでしょうね。そんな傷は傷で、しかしまたよいものです。

猫に好かれるようにするにはどうしたらよいですか

Q:家内の意見が強く、これまで犬しか飼ったことがないのですが、猫も飼いたいという夢が捨てきれません。ところが、私が近づくとだいたい猫というのは逃げてしまいますし、人の家に行っても猫に構ってもらえたためしがありません。妻からも「猫に好かれないようじゃダメよ」と言われてしまいます。猫に好かれるようにするにはどうしたらよいですか。いつか私は猫が飼えるような人間になれるのでしょうか。
(40代・男性・会社員)

A:犬を飼いたがる人というのは、支配的な行動パターンを取る人が多いといわれます。というのも、犬好きな人は犬の無防備さと優しさ、自分への依存を愛するからです。ご主人様になつき、かわらぬ忠誠心を抱くところに惚れてしまうのです。この奥様もちょっとそういうところがあるのかもしれません。「猫から好かれないようじゃダメよ」という発想自体が犬派のものですから。

 猫好きな人は、そういう視点で猫を見ません。人格ならぬその「猫格」を愛するからです。なつくかなつかないかではなくて。うちにはレオという子がいます。わたしと最初から蜜月が続いていますけれど、まあ自由奔放ですね。それまで犬派で、「猫は怖い!」「何を考えているかわからない!」と拒否反応を示していた夫が今では一番の猫派で、レオの下僕です(笑)。人の考えは変わるものですし、「猫に好かれない」と自信を喪失する必要もまったくありません。出会った猫ちゃんと一から付き合って関係を築けばよいのです。

 私は幼稚園か小学校の頃、まだ茅ヶ崎にいた頃ですね。スーパーの前で段ボール箱に入って置かれていた仔猫を連れて帰ったことがあるんです。でも家の事情で飼えなくて、返しに行かなくてはならなくて……そのときのつらい思いをいまだに覚えています。猫を飼いたいと思い続ける気持ちはわかります。実際、一緒に暮らしてみると毎日が楽しい。

 なので、奥様のご意見は一切参考にされなくてよいのではないでしょうか。ただ、アレルギーだけは事前にチェックされた方がよいですよ。

「ペットロスで辛い……」周りの人にも理解されない痛みをどう乗り越えるか?

Q:ペットロスで辛いです。そういう時はどうやって乗り越えたらいいのでしょうか?
(30代・女性・広告代理店)

A:ペットロスは……なかなか乗り越えられないです。

 うちは3匹チワワがいました。1匹、また1匹と去ってしまい、今女の子1匹なんですけど、じゃあそこに他の子が来たら代わりになるというわけではないですし……。

 自分の失われたペットのことを書き継いでいるツイッターやブログがあったりします。ある方が、オランという猫のことを書いていらした。いいね、も押さずにでもしっとりとした気分になって見ていました。その子との思い出を写真と共にツイッターに書き留めておくことが、飼い主さんにとって大事なことだったというのが分かったから。

 私はニルスが失踪して、めいちゃんが死んだ話を雑誌で書きましたけれど、あれは書いておいてよかったと思います。

 ペットの話って重きを置いてもらえないじゃないですか。人間じゃないから、「ああそうなんだ」で話が終わることが多い。大人なら、ペットが亡くなっても、変わらぬ仕事の日常を当たり前のような顔をして生きていかなきゃいけない。実際に心の中ではいつも考えてしまうのに。

 でも、周りに理解してもらえなかったとしても、なかったことにせず、きちんとどこかに書いておく、というのはあなたにとってせめてもの癒しになるのではないでしょうか。

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三浦瑠麗・著『私の考え』
「人生は一回限り。人間、迷ったら本音を言うしかない」――常に冷静に、建設的な議論を求めるスタンスで言論活動を続けてきた著者が、思うままに本音を語る。「“リベラル”にも女性憎悪は潜んでいる」「『性暴力疑惑』を報じる価値」「政治家が浮気してもいい」「怖がっているだけでは戦争はわからない」「恋は本当に美しいものだから」etc.政治について、孤独について、人生について、誠実に書きとめた思索の軌跡。

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三浦瑠麗(みうら・るり)
1980(昭和55)年神奈川県生まれ。東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。国際政治学者として各メディアで活躍する。株式会社山猫総合研究所代表。『シビリアンの戦争』『21世紀の戦争と平和』『孤独の意味も、女であることの味わいも』など、著書多数

デイリー新潮編集部

2020年5月23日掲載

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