【新型コロナ】「今こそ消費減税を」 ニッポン放送人気アナウンサーが訴える理由

国内 政治

  • ブックマーク

Advertisement

 新型コロナウイルスへの政府の対応に十分満足している国民は少数派だろう。特に中国からの外国人の来日の制限については、もっと厳しくすべきだ、という意見が多数であることは世論調査からも読み取れる。厚労省の対応が後手後手に回っている、といった批判はメディアでも目立ってきた。

 一方で、この一件であまり批判にさらされていないのが財務省だ。そのせいか、麻生太郎財務相は、2月25日の記者会見で「(新型コロナウイルスに関連した追加経済対策については)今すぐ何か考えているわけではない」と語ったという。また、その影響についても「どれくらいのものになるかはよく見えていない」という認識を示している。

経済は“命”に直結する

 もちろん、まだ影響がどうなるのかは誰にもわからない。しかし、最悪の場合に備えて準備しておくことを国民は期待しているのではないだろうか。

 こうした状況に危機感をあらわにしているのがニッポン放送のアナウンサー、飯田浩司氏だ。飯田氏は、夕刊フジに連載中のコラム(「そこまで言うか!」)の中で、このままでは不況下のインフレであるスタグフレーションになる恐れがある、と述べたうえで、「今すぐに手を打たなくては、確実に手遅れになってしまいます」と警鐘を鳴らしている。

 往々にして、人命が関わる問題が浮上した際に、経済や景気の話を持ち出すと、「命より大切なものはない」といった「正論」で批判する人が出て来る。しかし、飯田氏は一貫して、「経済は命に直結する」と持論を述べてきた。著書『「反権力」は正義ですか』の中では「経済は人命を左右する」という章を設け、自殺者数と失業率の関係を例にしながら解説している(以下、引用は同書より)。

自殺者数と失業率の関係

 上は飯田氏が総務省、警察庁発表をもとに作成したグラフ。

「このグラフは完全失業率の推移と『経済・生活問題』を原因とする自殺者数の推移を重ね合わせたものです。多少のタイムラグはありますが、完全失業率(年平均)と『経済・生活問題』を原因とする自殺者数の推移がほぼリンクしているということが表れています。つまり、失業率が上がると、自殺者数が増加する。逆に、失業率が下がると自殺者数も減少するということがわかりますね。両変数の差分を計算した相関係数(1に近づくほど正の相関性が高い)は0.74.やはりかなりの連動があることがわかります。

 グラフを見ると、1990年からの28年間で過去2度大きな山を迎えています。2003年と、09年。03年はITバブル崩壊後の不景気、09年は言わずと知れたリーマンショック後の不景気です」

 飯田氏は就職氷河期世代だったこともあり、その時々の経済環境の厳しさがどれだけ個人の生活に影響を与えるかを目の当たりにしてきた。

「個人がどんなに努力しても、その時の経済環境によっては覆せないほどの重いハンデを背負わされてしまうことがあるのです。(略)

 それゆえ、マクロ経済の舵取(かじと)りを間違うことの危険性を一人でも多くの方にお分かりいただきたいのです」

 こうした危機感から、自身がパーソナリティをつとめる番組「飯田浩司のOK!Cozy up!」(ニッポン放送)でも、積極的に経済対策の必要性を語っている。改めて、飯田氏に現在の考えを聞いてみた。

「もともと日銀などの発表と、一般国民の景気の感じ方はこのところ乖離していたと思います。消費増税以降は、確実に悪化していると感じていた方が多いはず。そこへ来て新型コロナウイルスの影響が出る可能性は極めて高いし、すでにダメージを受けている業界も多数あります。

 早急な経済対策を打つことが、結果として人命を救うことにもつながるはずです。財政出動のほか、消費税を減税することも一案にすべきだ、と個人的には考えています。少なくともその議論をしてもいいのではないでしょうか」

 景気が悪化すれば、感染していない国民にも確実にダメージを与える。少なくとも「考えているわけではない」などといった傍観者のようなコメントを不用意にすることはやめたほうがいいのではないだろうか。

デイリー新潮編集部

2020年2月28日掲載

メールアドレス

利用規約を必ず確認の上、登録ボタンを押してください。