東野幸治が描く“三浦マイルド伝説”「借金完済まで控えていた風俗を我慢できず3軒ハシゴ」

芸能週刊新潮 2019年7月4日号掲載

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 東野幸治が仲間たちの秘話をつづる連載「この素晴らしき世界」。今週のタイトルは「お笑いに溺愛された男、三浦マイルド君(3)」。

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 R-1ぐらんぷりで優勝したものの、あっという間に仕事がなくなりやさぐれてしまった三浦マイルド君の話の続きです。

「ハゲた頭に前髪だけ伸ばすの、女性は気持ち悪いと感じるから、短く切って清潔感出したほうがいいよ」というアドバイスにも、「この前髪切ったら三浦マイルドのトレードマークが消えるわ! 切ってたまるか!」と、これまた心の中で叫んでいました。

 そして借金も増えました。人から借りたり、消費者金融から借りたり。ついに1人暮らしもできなくなり、芸人仲間の4人でルームシェアを始めました。会社が仕事をくれないから、自分で探して営業にも行きます。お酒を飲んでいるお客さんの前でネタをやる営業です。

 居酒屋でネタをした後、投げ銭箱を持ってお客さんのテーブルを回ります。小銭ばかりが投げ込まれるなか、ある酔ったお客さんがクシャクシャに丸めた千円札を三浦マイルド君の口の中に入れようとしました。

 いくらなんでも、それはプライドが許さない。お客さんとはいえやっていいことと悪いことがある。そう思った三浦マイルド君でしたが、その時の彼の財布には400円しか入っていませんでした。だから千円札を見て、思わず口を開けてしまったのです。ほんの一瞬ですが口を開けてしまい……。しかし、「アカン、アカン」と誰に言うわけでもなく言って、口を閉じました。「すいません。勘弁してください」と、それだけ言うのが精一杯でした。

 気がつけばR-1の優勝から4年が経っていました。このままじゃダメだ、変わらなきゃ――そう決意した三浦マイルド君。会社や周りに対する不満をなるべく考えないようにしました。歯がゆさと悔しさで泣きそうになりながら、毎日机に向かってネタを作り続けました。ブヨブヨに太った体も減量して15キロも痩せました。そして、切ることを頑なに拒んでいたシンボルである前髪も、とうとう清潔感のある髪型に変わりました。

 様々なアドバイスに前向きに応えられるようになりました。その結果、2017と19年のR-1ぐらんぷりで再び決勝に進出しました。残念ながら優勝はできませんでしたが、確実な手応えを感じられるようになりました。

 現在も相変わらず芸人の仕事はありません。お払い箱のような状況のなか、もちろんアルバイトをしています。外国人旅行者の方が利用する民泊の清掃だそうです。

「今までの自分は死んだ」。三浦マイルド君は更に生まれ変わろうと、毎日笑うように心がけていますが、日々の眠りは浅く、胃も慢性的に痛みます。

「結婚は? 彼女は?」

 私は失礼ながら聞いてみました。

「彼女は10年いません。風俗は現在借金が50万ほどあり、それを完済するまでは控えようと思っていましたが、先日我慢できず久しぶりに3軒ハシゴしちゃいました」と大真面目な顔で報告してくれました。

 風俗のハシゴ!?やっぱり三浦マイルド君の真面目さと性欲は天井知らずです。

 この先吉本から仕事が来なくて吉本を辞めたとしても、三浦マイルド君はどこかの小さな舞台でネタをやっているでしょう。なぜお笑いを辞めないのか? 多分、お笑いの方が三浦マイルド君を見初めたのだと思います。お笑いは絶対に三浦マイルド君を放してくれません。どんなに辛くてもお笑いを卒業させてはくれないでしょう。その外見もお笑いセンスも、お笑いに溺愛されてる証拠だから。

東野幸治(ひがしの・こうじ)
1967年生まれ。兵庫県出身。東西問わずテレビを中心に活躍中。著書に『泥の家族』『この間。』がある。