「紀州のドン・ファン」幼妻、遺産相続待たず7千万円を“先食い”していた

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法の抜け穴

 相続問題に詳しいWinslaw法律事務所の今田覚弁護士によれば、

「故人が保有していた株式は、遺産分割が行われるまで法定相続人たちの“共有状態”になります。そして、過半数の株式を受け取ることになる相続人が議決権を行使できるのです」

 今回の場合、法定相続人は妻と野崎氏のきょうだいなので、彼女の相続分は遺産の4分の3。そのため、

「法定相続人である妻が、過半数の株式を保有しているとみなされます。彼女による議決権の行使は適法で、取締役の選任や、その報酬金額を承認して可決することも可能です。ただ、報酬として7千万円が引き出されたことで、会社の価値は大きく目減りしました。他の法定相続人たちが受け取る相続分、つまりは株式の価値が毀損されたに等しい。法の抜け穴を突く不公平な行為だと思います」

 しかも、一部で報じられた「全財産を田辺市にキフする」との「遺言書」の存在は妻に不利に働きかねない。

 仮に、この遺言に効力があると判断されれば、

「妻の受け取る遺産は2分の1だけとなる。相続する株式も過半数に満たないため、先の決議そのものがなかったことになり、7千万円を返還する必要が生じかねません」(同)

 相続が「争続」になってしまえば、返還の義務が生じる可能性もあるのだ。

週刊新潮 2019年1月3・10日号掲載

ワイド特集「崖っぷちの『猪突猛進』」より

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