灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(23)

国際Foresight 2018年12月23日掲載

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 北新地の花街で琵琶芸者として働く母・菊から「義江は、お父さんのところへ行けば幸せになれる」と言われ下関まで行った。しかし、伝書鳩のように母への手紙を預かり帰されてしまった義江は、1人汽車に乗って眠っていたところに「大阪が燃えている」という声で目が覚めた。

 姫路に汽車が停車すると、プラットホームにあふれる大勢の人たちが、車内になだれ込んできた。義江が乗った2等車にも人が乗り込んできた。

「何しろ昨夜から焼け通しですから」

「この風では火の手は上がるばかりや。...

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