「USBジャックは俺が防ぐ!」無知な大臣と無能な野党の不毛なやり取りはいつまで続くのか 元経産省キャリアの明快解説

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不毛な国会

 蕎麦から花へ関心が移ったのか。「モリ」「カケ」の次に野党が国会でもっぱらターゲットとしているが「さつき」と「桜」だ。

 特に聴く者を脱力させたのが、「桜」こと桜田義孝・五輪担当大臣の答弁だろう。

「自分でパソコンを打つことはない」というのは、サイバーセキュリティ担当でもあるといったこととは関係なく、現代社会で働く国会議員としての能力や資質に疑問を抱かせるには十分な発言だった。

 さらに桜田大臣は「USBジャック」に対して「万全の対応をする」とも答弁。ここからは大臣がUSBジャックを「ハイジャック」「シージャック」の仲間だと勘違いしているという疑惑が生まれている。

「サイバーセキュリティを任されたからには、USBジャックの危機は俺が防ぐ!」といったところだろうか。

 これでは確かに大臣を任せていいの? と国民が不安に思うのも無理はないだろう。

 しかし、一方で、こうした大臣を攻撃対象として、内閣にダメージを与えるという野党のいつもの戦略から得られる果実は少ないのも事実だ。

 憲法改正、消費増税、移民政策、領土問題などいくら時間があっても議論し尽くせないようなシリアスな問題はあるのに、失言、迷言狙いで質問を浴びせる野党。その「期待」に応える大臣。不毛なやり取りが繰り返されるのである。

 こうして国会では常に「目先のスキャンダル」「その場の失言」に時間が割かれて、長期的な問題についての議論の時間が犠牲になっていく。

 多額の税金がつぎこまれている国会で、なぜこういうことが延々と続くのか。それは日本の国会というシステムが抱える根本的な問題が関係している、と指摘するのは元経産省官僚の宇佐美典也氏だ。

 宇佐美氏は新著『逃げられない世代――日本型「先送り」システムの限界』のなかで、問題の本質をわかりやすくときほぐして解説している。以下、該当箇所を引用してみよう。

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