7億円の血税を呑み込んだ「暴力団」産廃事件 主役に「片山さつき」後援会会長

国内 政治 週刊新潮 2018年11月22日号掲載

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騙しの手口

 実は、その山桜会会長こそがいわくつきで、本稿で詳述する「片山疑惑」のキーマンだ。

 過去に、暴力団と手を組み、仙台市近郊にあった「竹の内産廃」という産業廃棄物処分場を乗っ取り、大騒動を引き起こしていたのである。

 竹の内産廃の関係者が振り返る。

「1997年、ある中堅建設会社が、メインバンクにしていた徳陽シティ銀行の破綻で、資金繰りが悪化。結局、50億円の負債を抱え、社長は自殺してしまった。後を継いで社長になった長男は、中学時代の同級生に相談を持ちかけた。それが、山桜会の中村会長です」

 すると、東京の金融業者を紹介され、利息は年10%で2億4千万円の融資を受けることになったという。

「ほどなく、金融業者が、その建設会社が運営している竹の内産廃を視察するためにやって来ました。そのとき、なぜか広域暴力団の住吉会並木一家、津久井高光総長(故人)とその側近らも一緒だった。その後、中村会長は建設会社社長に対し、産廃部門を独立させ、別会社にすることを提案しました」(同)

 建設会社の社長はその提案を受け入れ、別会社にしたうえ、その竹の内産廃の株券を融資の担保に差し入れたという。

「ただ、書類上は、金融業者に売却する格好が取られました。というのも、中村会長から“このままでは竹の内産廃の株券も金融機関に差し押さえられかねない。名目上、所有権を移した方がいい”と勧められたからです。ですが、それが騙しの手口で、竹の内産廃は乗っ取られてしまうのです。98年には、津久井総長とグルの中村会長が経営権を握りました」(同)

 竹の内産廃の運営会社は、「安西」(のちに、「グリーンプラネット」に改称)。中村会長が代表で、津久井総長の側近である三觜(みつはし)邦介総長秘書が実質経営者になったのだ。

社会問題化

 それ以降、竹の内産廃には遠方からのトラックもゴミを捨てるために列をなすようになった。周囲は、以前に増して悪臭が漂うようになり、廃棄が禁じられているはずの注射針などの医療廃棄物までが捨てられるようになったという。

 挙げ句、竹の内産廃は社会問題化していくのである。

「地域住民からは、“黒い水が出ている”“臭いがひどい”と度々、県に苦情が寄せられるようになりました」

 と、地元紙の記者が解説する。

「また、暴力団が関与しているとの情報を得た県の職員が立ち入り調査をすると、従業員に軟禁され、脅迫を受けるという事件も発生した。01年5月に埋め立てが終了。同時に行われた県の調査で、硫化水素ガスが致死量の700ppmを大幅に上回る4千ppmも検出された。さらに、その2カ月後には日本一の記録となる2万8千ppmという数値に達した。のちにわかったことですが、県が許可した容量の3倍、100万立方メートルの産業廃棄物が埋められていたのです」

 硫化水素ガスの他にもメタンガスなどが発生し、頭痛やぜんそくなどの症状に悩まされる住民が続出した。

 前出の竹の内産廃関係者が続ける。

「当初、建設会社の社長らは、“ヤクザに乗っ取られた”と、住吉会の本拠地を管轄する警視庁まで相談に行きました」

 しかし、暴力団が関与しているというだけでは逮捕できないと捜査は前進しなかったという。

「ところが、04年1月、一転して、宮城県警が、中村会長の後に竹の内産廃の社長に就いた人物や三觜総長秘書などを廃棄物処理法違反で逮捕しました。ですが、本当の主役である中村会長と津久井総長は手が後ろにまわることはなかった。警察から聞いた話では、竹の内産廃を乗っ取った連中は、違法な廃棄物投棄を繰り返し、最初の2年間だけで、20億円もボロ儲けしたそうです」(同)

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