韓国と日本、間違った歴史認識を持つのはどちらなのか

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日韓は和解できるのか

 韓国の最高裁判所がいわゆる徴用工への個人賠償を認めた判決について、日本国内では厳しい見方が圧倒的だ。慰安婦問題などで従来、韓国に強いシンパシーを寄せていたメディアですら、今回ばかりは肯定的に報じるわけにはいかないのだろう。

 もっとも、識者の中には独自のスタンスを示す人もいる。山口二郎・法政大学教授は韓国のハンギョレ新聞に「日韓和解のために」と題した文章を寄せている。

 この中で山口教授は、この問題には法律的側面と政治的側面があり、解決するには政治的決着しかない、と説く。

「日本政府が基本条約を根拠に個人の権利主張を無視することは、政治的には冷酷な話である。まして、今の安倍政権や与党には、戦前の日本の植民地支配や侵略戦争を正当化したがる輩が多数存在する。元被害者が日本の謝罪は口先だけだと反発し、生きている間に補償を要求するのも理解できる」(ハンギョレ新聞 11月4日)

 山口氏の主張は、韓国側の「賠償せよ」という人たちとシンクロしているように見える。この見解の一つのポイントは歴史認識の問題を挙げている点だろう。山口氏に限らず、安倍政権や自民党の議員の歴史認識を問題視する向きは国内外に少なからず存在している。

 もちろん、戦前の日本を何でもかんでも美化するような人がいれば問題だろう。

 しかし、それでは韓国は歴史を正確に認識しているのか。とかく慰安婦や徴用工といった問題がクローズアップされることが多いが、そもそも彼らの歴史認識は「偏向」していないのか。

 韓国との間で繰り返される歴史を巡る問題について考える場合、この点にも目を向ける必要があるのだ。

イデオロギー優先の歴史認識

 有馬哲夫・早稲田大学教授は、中国や韓国の場合、歴史的事実よりも「イデオロギー」が重視される傾向が強い、という。

「20世紀に入ると実に多くの国々が民族自立の考え方のもとに独立しました。これらの国々の歴史とは、民衆がどのように独立を勝ち取ったか、どんな指導者のもとにどんな帝国主義的勢力と戦って国を建国したかという正統性やイデオロギーを国民に教え込む『物語』になります。こういった国では、歴史的事実よりも『建国イデオロギー』や『政治イデオロギー』が重視されることになります。『物語』が『イデオロギー』に変わったといえます」(『こうして歴史問題は捏造される』より。以下、引用はすべて同書)

 日本人は歴史というと同じものだと思いがちだが、中韓のいう歴史と日本やアメリカなどのいう歴史は違う、というのだ。

 では、韓国の主張する「建国イデオロギー」とはどのようなもので、事実とどこが違うのか。有馬氏の著書をもとに見ていこう。

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