ウイルス蔓延で50匹が死亡した猫カフェ「モカ」 店でライブ開催、過酷な“労働環境”指摘も

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猫の12%が死亡

 ところで、不幸にもパルボに感染してしまったら、

「感染力が非常に強いので、ケージに敷く板や布類など、ウイルスが染み込む可能性があるものは、完全に処分しなければいけません」

 と竹中獣医師は言うが、元社員によれば、

「発症した猫のケージも捨てなければ、下に敷くボードも交換せず、消毒だけで済ませていました」

 続いて、ほかの元従業員もこう告白する。

「パルボ以外の病気も頻発し、子猫の致死率ほぼ100%のFIP(猫伝染性腹膜炎)で死ぬ猫も多い。毛が抜けて発疹が出る真菌という病気も見られ、これは人間にも感染しますが、モカではそういう猫もフロアに出します。モカは社長の方針で3歳以下の猫しか扱いませんが、大勢の若い猫がこういう病気で死んでいる事実上の見殺しで、従業員も苦しんでいます」

 本誌(「週刊新潮」)は、ほかにも内部資料を入手した。そこには猫の死亡日、店舗、名前、性別、誕生日、猫種などが書かれており、死んだ猫の数は合計49におよぶ。

「リストの作成後に死んだ猫を加えると50。これら資料によると、3年半ほどの間にモカに在籍した猫は420匹前後。その12%が死んでしまったのです」(同)

 前出とは別の猫カフェ経営者が言うには、

「われわれが知る猫カフェで、3歳以下の猫が死んだのは1社だけ。その会社でも80匹中2匹、つまり2・5%にすぎません」

モカの運営会社は…

 再び内部資料である。従業員向けのマニュアルには、〈お客様にもし聞かれた時の言い方です〉などと書かれた下に、こう細かい指示が記されている。

〈・猫が亡くなった→ブリーダーさんの元に帰りました〉〈・隔離治療中→裏で休憩中です、おやすみしています〉〈・病院へ行く姿を見られて聞かれた時→定期的な健康診断です〉

 さて、モカに取材を申し込むと、顧問弁護士の名で返答があった。以前にもパルボに感染した事例があったことは認めながらも、

「一般的に行われているパルボウイルス対策はすべて実施しておりました。それでも今回のことが起きてしまい、感染力の強さを痛感しております」

 と、モカでだけ「昔の病気」が発症しているのに他人事のようだ。そして猫の死亡率が高いことも、マニュアルの存在も否定した。

 だが、あたかも収容所での苦役のような虐待は、数百万の飼い主、その何倍もの愛猫家を敵に回すことだと知るべきだろう。

週刊新潮 2018年10月4日号掲載

特集「ウイルス蔓延で50匹死亡! 『AKB48』も通いつめる猫カフェ最大手『モカ』の子猫虐待」より

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