灼熱――評伝「藤原あき」の生涯(8)

ライフForesight 2018年9月9日掲載

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 学習院女学部の上級となった中上川あきは、膨らみをおびてきた胸とは裏腹に着物の上からもまだ少女らしい華奢な体つきがわかる。

 背が高く大人びた目鼻立ち、常に堂々とした物腰は、校内でもかなり目立つ存在だった。先生が黒板に書く問題もすらすらと解いてしまい、級友たちが頭をひねり考えているのを尻目に、「中上川さんもう出来たかね?」と帳面を見にきた先生とたわいもない話をする。

 仲の良い女学生同士が休み時間に校庭をそぞろ歩きしながら、将来の夢を語る時間を、あきと一緒に共有したいと思う下級生もたくさんいた。...

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