大臣次第で職場は激変! 元財務官僚・山口真由氏が明かす

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元財務官僚・山口真由氏の明かす「ふしぎな財務省」(3)

 話題の財務省はどういう職場か。元財務省キャリアで現在は弁護士、テレビコメンテーターとしても活躍中の山口真由氏の著書『いいエリート、わるいエリート』から、今回は政治家との関係性を見てみよう(以下、引用は同書より)。

 省内の雰囲気は、大臣次第でまるで別の職場になったかのように大きく変わるのだという。山口氏が入省した時の大臣は、谷垣禎一氏。イメージ通り、「とても知的で、感情的になることなく、情緒的に安定した紳士」だったそうで、こういう時の職場は平和なのだという。

「谷垣さんは、どんなに分厚い資料でもパラパラッとめくるだけで内容を理解し、問題点を見つけると、的確に指摘すると評されていました。当然、あらゆる仕事がスムーズに運びます。財務省の職員は実質的な仕事に集中できるからです」

 これがいつも怒っているようなタイプの政治家になると雰囲気はピリピリしてくるものだったという。このあたりは普通の職場と同じだ。

「私の個人的な見解ですが、政治家としての能力も抜群で、周囲の評価も高いかたの場合には、ご自分に自信があるので、官僚の発言をきちんと聞いていただける気がします。

 逆に、ご自分に対して自信がないかたの場合には、反動で官僚に対して非常に居丈高にふるまう傾向があるように思います」

つぶやきで右往左往

 ある大臣に国会答弁の内容をレクチャーしていた時のこと。大臣が一言こうつぶやいた。

「文字が読みにくいな」

 比較的高齢ということもあり、視力が衰えていたのだろう。このつぶやき一つで、エリートたちは右往左往を始める。

「文字を大きくするように!」

 指示が飛び、文字の大きさは何と38ポイントに変更された。合わせて資料のサイズもA4判からA3判へ一斉に変更。もとがA3で用意されていた紙を倍のサイズにしたら、さすがに大きすぎる、と怒られたという。

 省内にいる政治家は大臣だけではない。副大臣や政務官もいる。彼らの性格次第でまた面倒は増えるのだという。

「上下関係が明確に分かるようなパフォーマンスを好まれるかたもいるそうです。

 こういうときには、職員はある程度、オーバーな演技を要求されるとか。たとえば、副大臣がお部屋に入ってくるとき、職員はわざわざ部屋の入り口から最も遠い片隅に控えている。

 そして、副大臣がお部屋に入っていらしたとたん、部屋の片隅から副大臣のもとへ『子犬のように』駆けていき『おかばん、お持ちします』と言うと、機嫌がよくなる。そんな冗談がまことしやかに語られていました」

 部下が上司の顔色を窺うのは財務省に限った話ではなく、人の世の常だろう。上に立つ者は、その危険性を知っておいたほうがいいのかもしれない。

デイリー新潮編集部

2018年4月4日掲載

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