イイでしょ、品川祐(2)〈東野幸治 この素晴らしき世界〉

芸能週刊新潮 2018年2月8日号掲載

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 血気盛んな若手時代の品川君の話の続きですが、ついに「アメトーーク!」という番組で事件が起きました。再ブレイク前夜の有吉弘行君に番組内で、「おしゃべりクソ野郎」というあだ名をつけられ、品川君が見事にぶっ倒れたんです。日本中のお笑いファンや芸人が拍手喝采、胸をスカッとさせました。「よくぞ言った!」「まさにその通り!」。

 そんな有吉君は品川君を踏み台に、見事再ブレイク。そして今では、品川君が欲しくて欲しくて仕方がなかった冠番組を多数持つ売れっ子芸人さんになりました。一方、品川君は「ショックで立ち直れない」という可愛げは全然なく、すぐに立ち上がりファイティングポーズを取りました。そして持って生まれた鼻持ちならない喋りで薀蓄を披露しては笑いを取って、さらに売れるチャンスを窺います。

 先輩から「見た目が大事」と聞けばオーバーオールを脱ぎ捨て一流ブランドを羽織り、丸坊主から洒落た髪型に変えて、あご髭をたくわえました。売れるための努力は苦にならない品川君で、「仕事のできる男は体を鍛えてる」という本を読めば、相方が筋肉キャラなのに体を鍛えだし、せっせと炭水化物を制限。まさかの、コンビでキャラかぶりです。

 さらにターボがかかった品川君は宮沢賢治の「雨ニモマケズ」状態になっていきます。西で芸人が料理を作りだすと我先に料理を勉強して本を出版し、東に家電に詳しい芸人がいると聞けば自分も家電に詳しくなり、南にガンダムに詳しい芸人がいると聞けば自分も貪るようにガンダムを勉強してトークし、ガンダムファンから「間違った情報言うんじゃねぇ! ガンダム知らねぇだろ!」と言われ、北で「ひな壇芸人」という言葉がウケたら、自らバラエティー番組での所作やオンエアされるためのテクニックを、したり顔で披露したりしました。

 もちろん評価されたものもたくさんあります。小説の執筆や映画の監督など裏方として表現すれば常に成功しているんです。

 歳のせいもあるけど、例のあだ名をつけられてから、イジられることが増えてきて少しずつニコニコしていることの多い品川君になっていきました。いわゆる、丸くなったってヤツです。そう感じた私は「何か面白くないな。こんな品川は品川じゃない! クソ生意気な品川が大好きだ!」と思い、「アメトーーク!」で「どうした⁈品川」という企画をやりました。

「品川は嫌われてこそ品川だ! 品川に可愛げなんかいらない! 韓流スターみたいな見た目になるな! 丸坊主に戻れ!」などなど、品川君にとってはいい迷惑な話ですが番組で延々と説明してイジり続けました。でも彼は万能ですからそこで「イジられること」に次の道を見つけました。

 そこからの品川君は嫌われ芸人、好感度低い芸人の称号を一手に引き受けて、自虐ネタを貪り、笑いを取っていきます。「昔ADにキツくあたり嫌われ、そのADがプロデューサーになってからテレビに呼んでもらえません、レギュラー0です!」「汐留の日テレはエレベーターが来るのが遅いってみんな言うけど俺はそもそも日テレの仕事が来ない! だからわからない」と次から次へと自虐を畳み掛けて爆笑をかっさらっていきます。新規の嫌われ芸人が嫌われエピソードを喋っても、さらに上をいく嫌われエピソードで新規より大きな笑いを取り、ほくそ笑み、新規の嫌われ芸人にも嫌われていきます。前後左右、敵だらけです。

 だからこそ光り続ける品川祐。皆さん、イイでしょ品川祐って。

東野幸治(ひがしの・こうじ)
1967年生まれ。兵庫県出身。東西問わずテレビを中心に活躍中。著書に『泥の家族』『この間。』がある。