「所ジョージは不思議な存在」 ビートたけしの「愛すべきバカ論」

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 ビートたけしとの共演回数で見た場合、明石家さんまよりも、所ジョージのほうがはるかに多い。「世界まる見え! テレビ特捜部」の司会を共に務めるようになってから、何とすでに四半世紀以上も経っているのだ。個人的な親交もあるという所ジョージについて、たけしは『バカ論』の中で、こんな風に評している。

「ひとことで言えば、芸人じゃないんだよね。

 何事も突き詰めない。適当なんだ。『食っていければそれでいい』という軽さがある。それに芸とか仕事より、自分の趣味の方が大事であって。

 そのあたりが見ていて羨ましいところでもある。肩の力が適度に抜けていて。

 芸事について、頭がおかしくなっちゃうほど自分を追い込まないというか、要するに芸の勝負は一回もしていない。

 若い頃、演芸場に行くと、楽屋に10組ぐらい芸人が並んでいる。

『よう』なんて、愛想よく話していても腹の中では『負けねえぞ。おいらが一番面白い』とか思っているものなんだ。どうしても勝ち負けを考える。前の組が『ワーッ』ってウケていると、『ちくしょう、もっとドッカンドッカンいかないと』なんて、つい力が入った。

 でも所は、そういう芸の勝負というか、競争をするところにいたことがない。芸能界にも何となくフワッと入って来た感じがある。タモリさんと一緒で、赤塚さんなんかのグループに最初は気に入られたんじゃないかな。

 だからおいらは、所ジョージのことを『お笑い界の色物』と思っている。

 それでお金も稼ぐし、趣味もたくさんあるから忙しい。かみさんの料理も美味いもんだから、外で飲むわけでもなくいつもまっすぐうちに帰る。

 だから、突き詰めて言えば芸人じゃないんだよね。不思議な存在。

 でも、いなくてもいいと思わせておいて、やっぱり必要な存在なんだ。パーティにある花環とか、『○○賛江』と書いた楽屋花みたいな存在。なくてもいいんだけど、ないと寂しい」

「見ていて羨ましい」と言わせるあたり、所ジョージも芸人ではないにしても、只者ではない、ということだろうか。

デイリー新潮編集部

2017年11月5日掲載

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