愛情が光り輝く新品種米「金色の風」のこだわり――かがやいてる、元気な農家

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 平泉・中尊寺(ちゅうそんじ)の金色堂(こんじきどう)は、私たち東北人が世界に誇る文化遺産の一つ。なんと、あの光り輝くお堂をイメージさせるお米が誕生しました。その名も「金色(こんじき)の風」。岩手県が食味を最優先に8年の歳月をかけ、最新のゲノム解析技術を活用して開発した水稲新品種です。米の粘りと柔らかさに関係する成分のアミロースが少しだけ(2~3%)低くなる遺伝子を特定し、この遺伝子を持つイネに「ひとめぼれ」の交配と選抜を繰り返した結果、至高を極めた食味食感をもつ品種を開発できたのだそうです。

 ところは岩手県の奥州市。ここで噂のルーキー品種が栽培されていると伺い、鈴木哲也さん(74)の圃場(ほじょう)を訪ねると、新品種の稲穂がすくすくと丈を伸ばし、育っていました。

 JA岩手ふるさとの「金色の風栽培研究会」の会長を務める鈴木さんが、「わが子を育てる思い。オンリーワンをめざし、まずは安全安心の米、食べていただく皆さまの第一印象が“おいしい!”となる笑顔を想像しながら、栽培しました」と栽培を担う感想を語ります。留意された点は、「初めての栽培なので、とにかく、量より質に力を注ぎました」とのこと。「稲が米をつくるので、稲の育ちやすい環境づくりが私の仕事」という言葉が強く印象に残りました。

 就農してから概ね半世紀の歳月を水田一筋に生きてこられた鈴木さん。その実力は自他ともに認めるところ。ズバリ、おいしい米づくりの秘訣を伺うと、「特に水の温度管理には気を使う。夜は根がよく呼吸できるよう、冷たくしてあげるのがコツ」と耳打ちしてくださいました。

 岩手県の米の作付面積は約5万ヘクタールで全国10位。米の判断基準の一つ、一等米比率はここ10年は90%を超えており、全国有数の品質の高さを誇ります。しかも、昨年は、「米どころ」を自負する県の悲願だった自前の独自品種「銀河のしずく」がデビュー。私も、その栽培地である花巻市の圃場を訪ね、このシリーズで報告させていただきました。幸い、その評判は上々で、「米のヒット甲子園2016」(日経トレンディ主催)の大賞にも選ばれたと聞き、ほっと胸を撫なで下しています。

 その「銀河のしずく」が花巻地域を主栽培地とするのに対し、今年、岩手県が満を持して世に問う県の独自品種「金色の風」は、米の食味ランキングで特Aを22回取得している県の南部(JA岩手ふるさと、JA江刺、JAいわて平泉管内)の「ひとめぼれ」の栽培地域で限定生産されます。2017年度は100ヘクタールで栽培。順次拡大し、東京オリンピック・パラリンピックが開催される2020年には、選手村で「金」「銀」のお米を選手たちが賞味している場面が目に浮かびます。

 開発に携わった岩手県農業研究センターの鈴木茂所長は、「一噛み目は心地よい歯応えと粘りを感じ、二嚙み、三嚙みすると、ふわっととろけて、豊かな甘みが口の中にひろがります」と食味の特徴を説明します。私も、試験栽培された「金色の風」で結んだおむすびをいただきましたが、豊かな粘りと甘み、それでいて風のようなふわりとした食感が絶妙に調和していて、その名のとおりのお米でした。

 生産者一人一人が愛情込めて栽培した光り輝く「金色の風」。昨年から応援している「銀河のしずく」ともども、わが家の必須ブランドにさせていただきたいと思います。

 新品種米「金色の風」の栽培地となったJA岩手ふるさとは、岩手県南部に位置し、奥州市と金ケ崎町がその事業区域だ。特産品として全国的に有名なのが、奥州市前沢区の「前沢牛」だろう。

 今年3月、「前沢牛」は、「特産松阪牛」や「米沢牛」とともに、地理的表示保護(GI)制度への登録が認められた。銘柄牛のGI登録は、これまで「神戸ビーフ」と「但馬牛」があるのみ。JA岩手ふるさと経営管理委員会の後藤元夫会長(53)は、「半世紀に及ぶ黒毛和牛の肥育を営々と築いてきた歴代の生産者のたゆまぬ努力の賜物です」と胸を張る。

 JA岩手ふるさとの肉牛部会前沢支部の佐藤孝一支部長(64)によれば、昨年の出荷頭数は1115頭。上物率(肉質4、5等級)は85・29%に及ぶ。前沢区で肥育された黒毛和牛のうち、肉質が4、5等級で歩留等級(肉量)がAまたはB評価を受けた牛のみが「前沢牛」として出荷される。全国肉用牛枝肉共励会でこれまで名誉賞6度、農林水産大臣賞12度などの優秀な実績を収めてきたことはもちろん、「前沢牛」の存在が地域の知名度アップにつながっていることも評価されての登録だ。

 このほか、「前沢牛」の肥育には、地元の稲作農家から集められる稲わらが粗飼料として活用されている点も注目されよう。一方、畜産農家から稲作農家へ、牛の堆肥が提供されており、見事な循環型の耕畜連携が達成されている。佐藤さんは、「うちの肥育牛は特Aのひとめぼれの稲わらを食べて育っています」と笑う。「水は束稲山(たばしねやま)から導管を引いて持ってきています」と言い、夏の涼しい気候ともども、牛の肥育環境には申し分のない条件が揃っているのだ。

 後藤会長も、「このGI産品化により、復興の歩みを一層加速させていきたいですね」と力強く語った。

[提供]JAグループ [企画制作]新潮社 [撮影]荒井孝治
[ヘア&メイクアップ]岩本郁美 [スタイリング]Mi-knot Inc. [衣裳協力]ensuite lumiere(レナウン プレスポート) 03-4521-8191 [アクセサリー]]ABISTE(アビステ) 03-3401-7124