はびこる「陰謀論」6つの特徴とは――フェイクニュースの見分け方

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陰謀論6つの特徴

「●●事件は実は××の陰謀だ。新聞、テレビ、雑誌は報じていないが――」

 ネットでこうした形の言説を見かけることは珍しくない。その中には、実際にマスコミが報じない事実の一端が含まれていることもあるが、単なる「陰謀論」に過ぎないものも少なくない。

「真実」と「陰謀論」をどう見分けるのか。報道記者の烏賀陽弘道氏は、新著『フェイクニュースの見分け方』で、「陰謀論」(または「陰謀史観」)の特徴を以下のようにまとめている。

(1)ある出来事(あるいは世界・国内社会全般)の背景には、何らかの「秘密の強い力・組織」が働いている、と考える。こうした力・組織の例としては、日本政府やアメリカ政府、米軍、中国、韓国、ユダヤ人(ユダヤ系金融資本、ユダヤ人国際機関なども含む)、ロスチャイルド家、フリーメーソン、ナチス、ロマノフ家、共産主義者・共産党(かつてはコミンテルン)、宇宙人、UFO、反日勢力などがある。

(2)こうした「強い力」を持つ者たちの狙いは、日本や世界を自分たちの思い通りに動かすことだ。

(3)その「強い力」を持つ勢力が、裏で社会や歴史を動かしている。

(4)この勢力や陰謀の存在は、秘密のまま決して明るみには出ない。

(5)こうした勢力や陰謀の存在を、新聞・テレビなど主流マスコミは一切伝えない。それは「強い力」を持つ勢力の圧力による。またはマスメディアそのものが彼らに支配されているからである。

(6)自分たちが利益を得た場合は陰謀論は登場しない。自分たちが何らかの「被害」を受けたと論者が考えるときのみ、その原因として陰謀の存在を主張する(例:ルーズベルト米大統領は日本の真珠湾攻撃を事前に知っていた。日本を「騙し討ちの卑怯な国」と非難して世論を参戦に向かわせるためにわざと放置した)。

根拠はありません

 烏賀陽氏はかつては、こうした特徴を持つ話を聞いたときでも、とりあえずは耳を傾けていたという。すべてではないにせよ、事実があるかもしれないと思ったからだ。しかし、ほとんどの場合において、調べても「論拠」となる事実が見つからない。

「PはQの陰謀」と主張する人に、論拠となる事実を尋ねても、「それはない。なぜならQが隠蔽しているからだ」といった回答が返ってくるばかり。

 簡単にいえば、「Pは陰謀だ。しかし証拠は存在しない。なぜなら陰謀だから」という堂々巡りの主張なのである。厄介なのはこうした論理は、完全に否定することができない。「ないこと」の証明は不可能に近いのだ。

 改めて烏賀陽氏の挙げた特徴を見ると、これにあてはまる「説」はネットに限らずよく見かけることに気づかされることだろう。

「9・11はアメリカ政府の仕組んだ自作自演だ」「大震災は地震兵器によってもたらされた」等々。

 もちろん、こうした説が流布されるのはネット上とは限らない。

 書籍である場合もあれば、新聞・テレビが堂々と流していることもあるだろう。北朝鮮の「ニュース」の根底には、「世界中が我が国を攻撃しようとしている」式の陰謀論があるようにも見える。

 突飛な話を見聞きした時には、ひょっとして陰謀論=フェイクニュースでは?と疑ってみて、上の6つの特徴にあてはまらないか、チェックしてみたほうがいいかもしれない。

デイリー新潮編集部

2017年7月3日掲載

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