米国amazonでランキング1位 亡命中国人が描いた習近平批判マンガの凄い中身とは?
いま在外中国人のあいだで、習近平政権を徹底的に批判した、あるマンガ作品が話題になっている。発売前から米国amazon Kindleストアの中国語電子書籍ランキングで1位を獲得、18日の発売後も1位をキープし続けているという。
その作品タイトルは、『變態辣椒――流亡中的漫畫家 Chinese Cartoonist in Exile』。直訳すれば「激辛の唐辛子――亡命中国人漫画家」だ。
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じつはこの作品、日本の月刊誌「新潮45」で『中国亡命漫画家』というタイトルで連載され、その後、『マンガで読む 嘘つき中国共産党』というタイトルで単行本化されたもの。
著者の辣椒(本名:王立銘)さんは、中華人民共和国出身の43歳。デザインの仕事をする傍ら、ネットで政治風刺漫画を発表していたところ、中国の公安当局に狙われて、日本への“亡命”(※)を余儀なくされたという。(※法律上は亡命者ではなく長期滞在者。)
以下、辣椒さんに話を聞いた。
「この作品を描いていた時は、いま習近平政権下で行われている凄まじい人権抑圧と愚民化政策を告発したいという一心で、まさか米国amazonのランキングで1位になるなんて、想像もしていませんでした。
もともと日本人向けに日本語で発表した作品ですが、私としてはやはり中国の同胞に読んで欲しい。そこで出版社にお願いして中国語版の電子書籍を作ってもらい、米国と英国のamazonで販売することにしました。
中国では、習近平の独裁化と神格化が進み、批判は一切許されません。マンガでも描きましたが、まるで北朝鮮の金正恩政権のようです。
もちろん、私の描いたマンガを中国国内で読むことは許されません。中国のインターネットは共産党が厳重に管理しており、amazonで本を買うことができないようになっています。紙の本や電子書籍データを中国国内に持ち込もうとしても、もし税関で発見されたら、没収されるのはもちろん、公安当局から厳しい取り調べを受ける羽目になるでしょう。
それでも在外中国人や外国を旅行中の中国人は読むことができるはずです。また、共産党のインターネット支配が及んでいない香港やマカオ、それに台湾の人など、中国語圏に住んでいる人々にも読んで欲しい。
2016年11月には、私が描いた習近平を風刺したイラストをSNSでシェアした中国人が、公安当局に10日も勾留されました。今回の本には、このようなイラストだけでなく、より踏み込んだ形で、習近平政権の抑圧・洗脳工作の詳細を分析し、批判しています。もし私が中国に戻ったら即逮捕は間違いなし。良くて終身刑、あるいは……それを考えると、怖くてとても帰国できません。
今回の作品が、多くの同胞に読まれ、習近平の独裁体制を打倒する一助になることを願っています。もちろん、日本人の方にもぜひ読んで欲しい。マンガにも詳しく描きましたが、“反日教育”が独裁維持の重要なツールとなっています。中国で今何が起きているのか、その実態を知っておくことは、日本の将来を考えるうえでも大事なことだと思います。」