「沢田亜矢子」離婚の焦点だった「セックスと嘘とビデオテープ」

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 人間、変われば変わるものである。泥沼離婚裁判、整形手術にホスト稼業、あげくはAV出演……。女優・沢田亜矢子(67)の元夫の松野行秀さん(54)と言えば、常に浮世の塵芥にまみれ、人生の荒波に喘いでいた感があるが、そんな彼にもついに「凪」の季節が訪れたようだ。持ち前のネチッこさもすっかり抜けた彼の口から漏れたのは、例の離婚騒動の意外な舞台裏だった。

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 現在、松野さんは故郷である福島市内のマンションで起居している。きれいに整理整頓され、ホコリ一つ落ちていない部屋からは、男のやもめ暮らしの悲哀は全く感じられないが、それについてご本人はこう一言。

「身ぎれいにすることは禅の精神の基本ですから」

 誰が想像しただろう、よりによってあの松野さんの口から「禅」という言葉が漏れる日が来ようとは。

「前から福島市内にある曹洞宗のお寺で座禅会に参加していたのですが、お寺の方から“在家で得度を受ける道もありますよ”と言われましてね。4年前、お寺に何日間か泊り込んで修行をし、僧侶となりました。戒名は『覚念行秀』です」

 俗欲の波間をたゆたい、流れ流れてついに仏門に辿りついた松野さん。過去の行いを反省し、改心したから――というわけではあるまいが、離婚騒動時についていた嘘をアッサリと告白するのだ。

「騒動の中で、セックスビデオの存在が話題になったことがあります。でも、そんなもの実際にはなかったんですよね、今だから言えますが……」

■沢田へのメッセージ

 泥沼化する離婚騒動の焦点でもあったセックスビデオは存在しなかった。かような嘘をついて世間を欺かなければならなかった理由に触れる前に、まずはざっと騒動の経緯を振り返っておきたい。

 松野さんが沢田と結婚したのは1995年。この結婚が話題を呼んだのは、沢田が選んだ男が、自分より12歳も若いマネージャーであったことに加え、すでに彼女が1人の子を持つ「未婚の母」だったからである。沢田が渡米して女児を出産したのは85年。彼女は父親名を明かさなかったが、著名な野球評論家が“本命”と言われた。ただし、彼女自身の口から真相が語られたことはない。

 松野さんと沢田の良好な夫婦関係は長くは続かず、結婚から2年半で破局。何としても離婚したい沢田に対し、松野さんが頑なに関係修復を望んだために離婚調停は不調に終わり、98年、離婚裁判が始まった。

「最初に沢田さんが記者会見で話した内容がテレビで放映され、私のイメージは“怪しい夫”というものになってしまった。一旦ついてしまったイメージを払拭するのは簡単ではない。最初から私は分が悪かった」

 と、松野さんは言うが、離婚裁判において、先に夫婦の性生活に触れたのは沢田の側である。

「セックスしないと明日の仕事を教えない、と脅迫されて(セックスを)したこともありました」

 そう訴える沢田に対し、松野さんは「セックスを強要したことはない」と反論。事実を証明するため、夫婦の性生活の様子を収めたビデオを法廷に証拠として提出するのもやぶさかではない、と主張していたのだが、

「あれは、当時、私が相談していた人が“こちらにセックスビデオがあるよって言ったら、向こうは何と言うかな”とポロッと漏らしたのがきっかけで、実際にはないビデオの存在を匂わせたのです。つまり、牽制球を投げたわけですが、案の定向こうは黙っちゃって“そういったものを証拠として出すのは品位に関わる”なんて言ってきた。こちらとしてはシメシメ、でした」(松野さん)

 もっとも、裁判の結果は一審、二審ともに松野さんの敗訴。2001年には最高裁が上告棄却を決定し、正式に離婚が成立した。

 この一連の離婚騒動について沢田の所属事務所は、

「何もお話しすることはありません」

 と言うのみだが、一方の松野さんは感慨深げにこう話すのだ。

「今となってはあの騒動に感謝しています。失ったものは大きかったけれど、得たものも確かにある。騒動がなければ、今、私がゴージャス松野の名前でプロレスをやったり、歌手として活動することはできなかったわけですから」

 さらに、沢田に対してはこんなメッセージを送る。

「彼女も過去を切り捨てて自分の道を進んでほしいです。私より一回り年上ですから、健康の問題も出てくるでしょう。お金ではなく、年にあった仕事をしていってほしいですね」

 その「いい人」ぶりには何やら薄気味悪さすら漂うのだが、粘着質でブッ飛んでいた頃の彼が懐かしく思えてしまうのは、気のせいだろうか。

「特別ワイド 吉日凶日60年の証言者」より

週刊新潮 2016年3月3日号掲載

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