“60億円詐取”「みずほ銀行」元支店長逮捕でも残る「大疑問」

社会週刊新潮 2015年4月2日号掲載

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“銀行員の犯罪”に、ようやくメスが入った――3月24日、警視庁捜査2課共同捜査本部は、みずほ銀行元東陽町支店長の及川幹雄(51)を逮捕した。

「容疑は、2011年5月から約1年間、“元本保証、月利3%の配当”というウソの投資話で、世田谷区在住の医師から1億1500万円を騙し取ったというもの。同じく逮捕された森田光一(38)と櫻橋厚(こう)(45)は、医師と及川を仲介し、及川から手数料を取っていました」(社会部記者)

 及川の手法は、“みずほ銀行審査第二部審査役”の肩書を使い、東京・内幸町(当時)のみずほ銀行本店応接室で投資話を持ちかけるというもの。被害者は他に数十人に及び、被害総額は60億円に迫るという。

 これほど巨額のカネ、いったいどうなったのか。

「カネの匂いを嗅ぎつけたブローカーや暴力団関係者が群がり、むしり取っていたようです」(同)

 12年9月に懲戒解雇された及川だが、その後も逃げ隠れすることはなかった。及川とみずほ銀行に対して民事訴訟を起こしている「みずほ銀行詐欺被害者の会」の佐藤昇氏は言う。

「不動産ブローカーに転じていて、きちっとした身なりで大手町や日本橋を歩いていました。“みずほ絡みの仕事が入る”とか、物件の資料を見せては“この売買が決まれば手数料が入るので、返済できます”などと、堂々と話していました」

 本店を舞台にした詐欺だけに、被害者は当然、銀行の責任も追及する。だが、みずほ銀行は、

「大変ご迷惑をおかけしていることを心より深くお詫び申し上げます」

 とコメントするのみで、責任についての言及はなし。

「この事件には、みずほ銀行とつながりの深い大物税理士が関わっているとも言われていましたが、司直の手は今回、そこまで伸びなかった。民事で係争中という制約があるので、捜査の手をみずほ銀行本体にまで伸ばすのは難しいかもしれません」(先の記者)

 発覚から2年4カ月。“闇”の解明はこれからだ。