36歳主婦はなぜ風俗嬢になったのか――『日本の風俗嬢』(7)

社会

 女性が性風俗の世界に足を踏み入れる動機で一番多いのは、「お金」。これは別に他の職業と変わらない。

 しかし、中には一風変わった動機の女性もいる。『日本の風俗嬢』(中村淳彦・著)に登場する主婦のAさん(36歳)の場合はどうか。以下、同書をもとに紹介しよう。

 Aさんの動機は「本当に昔から憧れの仕事だったから」というもの。

「旦那とは、すごく仲がいいですね。旦那とか生活に不満とかはなにもありません。

 全然お金に困っているとかじゃなくて、ただの興味本位です」

 結婚して三年目。子供はいない。夫は福利厚生が充実した企業に勤務している。全身から地味な雰囲気が漂い、色気はない。胸もBカップで、「都心部の人気店では採用されないレベル」(中村さん)だという。

 それでもやってみたいのだとAさんは話す。

「絶対に普段の生活じゃ体験できないじゃないですか。今までやってこなかったのは、どこかで踏み留まるっていうか。普通に仕事もしていたし、結婚もしているし、だからわざわざ行動に起こさなかった。

 (風俗の)求人サイトの掲示板は登録しておけば、勝手に向こうからオファーがくるじゃないですか。だから遊び半分で。

 今まで風俗とかまったく経験ないです。男遊びもないですね。なにも知らない」

 真面目で地味な生活をしていたAさんが「行動」を起こそうとしたきっかけは、交通事故だった。トラックにはねられて瀕死の重傷を負った彼女は「人間っていつ死ぬかわからない。やりたいことをやろう」と思うようになったのだ。

 もっとも外見が特に秀でているわけではなく、異性からモテた経験もないため、自分が通用するのかはまったくわからなかったという。ところが、求人サイトの掲示板に「週1とか週2とかで働けるお店を探しています」と書き込んでみると、ピンクサロンや熟女ヘルスからすぐに勧誘メールが届いた。

 デリヘルの面接に出向いたところ、手取りは40分で5000円。店長から器具なども用いた講習を受けたあとの感想は、

「受け身で楽しかったですけど、これで5000円にしかならないのか、厳しいなって……。お金のためじゃないとはいっても、稼ぐのって大変だなって思いました。ピンサロも1人について2000円。日給1万円にもならないかな」

 Aさんについて中村さんは、こう述べている。

「彼女が週1日働いても月収は6~7万円。平穏無事な家庭を築き、金銭的にも困っているわけではない。おそらく彼女は風俗嬢として成功をすることはない。その程度のお金を稼ぐために、様々なリスクのある風俗嬢にはならない方が賢明だと思う」

 しかし、Aさんの決意は固かったようで、その後本当に風俗嬢になったという。

デイリー新潮編集部