マツコはやっぱり深夜に見たい人 驚異の視聴率で占拠率30%超という無冠の帝王

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酒でも飲みながら見る

 マツコといえば毒舌が有名だが……。

「いや、彼女の話は、ひねてもいないし、誰もが考える極めてまっとうなことだと思いますよ。ただ、一般的にはちょっと言いにくいことを、オネエ言葉でズバッと言っているだけ。それがテレビの前でお酒でも飲みながら見ている視聴者の共感を呼ぶわけです。だから彼女の番組は深夜、それも24時過ぎが一番いい。たとえば、『夜の巷を徘徊する』(テレ朝)は、11月28日深夜の放送では視聴率は5・6%(ビデオリサーチ調べ、関東地区:以下同)でした。24時過ぎの番組としては驚異的な数字です。その前週の21日は6・3%と、この1年で最高の数字で、占拠率で見るとなんと31・6%になるんです」(同・民放プロデューサー)

「夜の巷を徘徊する」は街歩き番組で、同じテレ朝が午前中に放送している「じゅん散歩」の深夜版といったところ。巨漢のマツコを使ったところがミソで、彼女がゆったりゆったりと歩きながら、街ゆく一般人と会話し、飲み屋に入っては生ビールの大ジョッキを飲み干す。「ごめんねえ」と、あの体を小さくさせて歩く気遣いも見られる。時にはキムタクやトヨタの豊田章男社長といった大物も出演したりもするが、基本的に彼女一人しか出演しない。それだけの番組ながら、テレビを点けている全世帯のうち31・6%、つまり3軒に1軒は、この番組を見ていることになるのだ。

「もう1本、日テレの『月曜から夜ふかし』も25日深夜の放送で7・9%を記録しました。所詮1ケタと思うかもしれませんが、この時間帯の占拠率は38・1%でした。深夜帯でも日テレとテレ朝の戦いというのが興味深いですね」(同・民放プロデューサー)

 テレビを点けている全体の視聴率(HUT)は夜が深まるにつれ、当然ながら徐々に落ちていく。同じ視聴率5%でも、昼間と深夜とでは占拠率は変わってくる。

「実は深夜帯について言えば、業界では視聴率よりも占拠率を重視することが多いんです。放送時間帯に拘わらず、ライバル局に対し、自分たちはどれだけ占有することができているかわかりますからね。ちなみにEテレやBSを除いて、民放5局とNHK総合の6局で見た場合、占拠率は25%なら“素晴らしい”、20%なら“まあまあ”、17%が最低ラインというところです。ですから、マツコさんの占拠率が、いかに高いかわかるでしょう」(同・民放プロデューサー)

 テレ朝が「かりそめ天国」をゴールデン帯に格上げした理由もわかるが……。

「むしろ、深夜のマツコを見たい層に渇望感が生まれ、『夜の巷』に流れたのかもしれません。テレ朝にとっては大誤算だったかもしれませんね。いわゆる視聴率三冠王は、ゴールデン帯、プライム帯、そして全日帯(6時~24時)のそれぞれのトップを取ることで達成されるわけです。つまり、深夜24時から早朝6時までは、いくら数字を取ったところで、1分たりともカウントされることはない。マツコさんが深夜帯で驚異的な数字を残していることは事実ですが、日テレとテレ朝の視聴率争いには、全く貢献していないところもまた、彼女らしいかもしれません」(同・民放プロデューサー)

 無冠の帝王といったところか。

週刊新潮WEB取材班

2019年12月6日掲載

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