嫌われ始めた「セブン」と愛され続ける「セコマ」 コンビニ顧客満足度の“明暗”事情

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 ここのところコンビニ業界、とくにセブン-イレブン(以下セブン)をめぐる問題が噴出している。24時間営業での本部と店舗の対立、弁当ロスの対応、そして被害額5500万円という7Payでの失態……。つい最近も、営業短縮を伝えた店舗のオーナーに“警告文”を送ったことが明らかになった。こうした影響は、数字にも現れ始めた格好だ。

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 6月末、日本生産性本部サービス産業生産性協議会は、顧客満足度調査の最新版を発表した(2019年度JCSI第1回調査結果)。コンビニエンスストア部門で1位に輝いたのは、セイコーマート(以下セコマ)で76・3ポイント。これに、セブンが69・7、ミニストップが68・1ポイントと続く。

 コンビニ部門でセコマが1位に選ばれたのは、これで4年連続。人気のワケについては後述するが、注目は調査結果発表資料に添えられた、以下の文書だ。

《コンビニエンスストア業種は、2016年度から2018年度にかけて、スコアが横ばいでしたが、2019年度は上昇しています》

《セブンイレブンは、2017年度から2019年度にかけて、僅かながら低下しています》

 コンビニ業界全体では満足度が《上昇》しているのにもかかわらず、セブンは《低下》……。調査は4月3日~29日の期間にインターネットで行われた。

「7Payをめぐるゴタゴタの前であることを考えると、現在はさらにポイントを落としているかもしれませんよ」

 と分析するのは、流通アナリストの渡辺広明氏だ。

 たとえば、影響は客数にも見て取れるかもしれない。昨年期(18年3月~今年2月)までの3大コンビニの既存店客数は、セブンが前年同月比平均99・4%でトップ、ファミリーマートが98・9%、ローソン(ナチュラルローソン含む、以下同)が97・6%という結果だった。セブンが“絶対王者”といわれるのがよく分かる数字だ。

 ところが最新のデータを見ると、今年3~5月までの前年同月比平均が、ファミリーマートが99・4%、ローソンが98・7%であるのに対し、セブンは97・9%。昨年期にくらべ、セブンだけ明らかに客足が鈍くなっているのだ(以上、各社の月次情報をもとに算出)。売上は3カ月とも前年比100%を超えているし、流行のキャッシュレス決済にセブンの対応が遅かったことなども影響しているはず。とはいえ、24時間問題が顕在化した2月以降に変化が現れた点は、一考の余地があるだろう。

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