米国にケンカ売る文在寅、北朝鮮とは運命共同体で韓国が突き進む“地獄の一丁目”

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文/鈴置高史

 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が米国にケンカを売った。核を手放そうとしない北朝鮮に対し、堂々と経済援助に動き始めたのだ。

国全体が分別を失った

 2月27、28日にベトナムの首都ハノイで行われた米朝首脳会談で、「非核化せずに、制裁だけ緩和させよう」との北朝鮮の本心が露わとなった 。会談と前後して、北朝鮮が破棄したと称していた弾道ミサイル基地の復旧の兆候 があることも明らかとなった。

 というのに韓国は、制裁破りの援助に動く。当然、米国も世界もそんな韓国に驚きの目を向ける。文在寅政権の暴走は止まるのか――。

 米朝首脳会談の翌3月1日、「3・1節」記念演説で文在寅大統領は「金剛山観光と開城工業団地との再開も米国と協議します」と宣言した 。いずれも北朝鮮に多額のドルが渡る、南北の経済協力事業である。

 もちろん米国は一蹴した。3月7日、匿名を条件にブリーフした国務省高官は「金剛山観光と開城工業団地に対する(国連)制裁を解くのか」との質問に対し、たった一言「NO」と答えた 。

 韓国の保守系紙は「北朝鮮に非核化意思がないことが明らかになった後も制裁緩和を求める文在寅政権に、米国が怒り出した」と一斉に懸念を表明した。

 朝鮮日報は社説「文の『金剛山・開城工団の提案』に『NO』と一言だけ答えた米国」(3月9日、韓国語版)で以下のように書いた 。

●(「NO」との答弁は)同盟国のトップが公に言及した提案を米国が即座に拒否したということだ。米国の方針はすでに決定済みなので、韓国は邪魔するな、との意味だろう。

●米国の朝野 全体が北朝鮮に核放棄を決心させるには圧迫だけであるとの共感で1つになった。

●だが、韓国の統一部は「金剛山・開城工団再開案を用意して米国と協議する」と言い、与党関係者は「それらを利用して米朝仲介を牽引せよ」と要求した。

●大統領だけでなく、集団的に分別を失ってしまったのだ。こんな韓国の動きを見て米国の関係者らは「ジョークでやっているのだろう」と言っているという。

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