「大塚家具」でついに80%OFFセールスタート… 聞こえてきた“断末魔”

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 およそ日本人ほど「セール」好きな人種もいまい。

 盆や正月はもちろん、季節の変わり目には売尽くしセールが、それでも飽き足らず毎日行われる「タイムセール」なるものまである。

 ただ、先月28日に始まった大塚家具の「在庫一掃SALE」は、これらの“セール”と趣を異にする。商品構成の見直しが目的というセールの目玉は「最大80%OFF」という惹句だが、

「いよいよ最後の手段に出たな、という感じです」

 と、顔を強張らせるのは、さる金融関係者だ。

「この手のセールは、商品が売れるかわりに犠牲も大きい。大塚家具の原価率は50%前後ですが、それを超えるディスカウントをすれば、当然決算上は赤字になる。それでも目先の現金を得るため、値下げしてでも商品を売るしかない。大塚家具はついに“劇薬”に手を出してしまったのです」

 手元の現金が尽きればどうなるのか。

「従業員の給与も払えないし仕入れもできません。つまり、企業としての活動が停止してしまう」(同)

 もっとも、この“劇薬”を使っても助かる見込みが薄いのが、かの会社の哀しいところ。

 経済誌記者によれば、

「大塚家具は複数の金融機関との間に50億円のコミットメントライン契約を締結している。これは資金繰りが上手くいかなくなった際に限度額までの融資を受けられるという有難いもの。ただ、大塚家具はこれと引き換えに100億円を超える在庫商品を担保に取られているのです」

 この契約は、劇薬で疲弊した大塚家具の体力をさらに奪いかねない“悪魔の契約”でもあるといい、

「コミットメントラインによる借入をした場合、売上は優先的に返済に充てられてしまう。セールばかりやっていては利益を上げられず借入をしても返済が負担になるだけという可能性もあるのです。『80%OFF』という耳触りのよいコピーの裏には、そんな苦境が透けて見えるんですよ」(同)

 まさに断末魔である。

週刊新潮 2018年10月11日号掲載

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