北朝鮮は日本からの借金「約86億円」を踏み倒し中――数百回の督促状を完全無視

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安倍首相に求められる解決

 参議院の農林水産委員会調査室は2013年、「食糧支援のために売り渡したコメの代金債権の免除」とのレポートを発表している。これは現在でもインターネット上で閲覧することが可能だ。

 そもそも日本は79年から83年にかけ、マダガスカルなどのアフリカ5か国に有償コメ支援を実施したものの、こちらも不良債権化。99年のケルン・サミットで重債務貧困国の債務免除が決定したことを受け、国会に「コメ債権免除法案」が提出された。その背景や経緯を解説したのが、このレポートというわけだ。文中に次のような一節がある。

《今般債権免除となるアフリカ5か国、返済済みの3か国、計画どおりに返済中の5か国を除くと、初回だけ返済された後、支払いが遅延している北朝鮮の米穀債権(25年度末の債権総額約77億円[※編集部註:55.3億円で計算])のみが残る。このため、今後の北朝鮮への対応が問われた。

 これに対し、政府は、「北朝鮮に対し引き続き債務返済の督促を行うとともに、外務省とも定期的に情報交換を行うなど適切に対応していく」旨答弁した。

 しかし、慢性的な食糧不足、外貨不足に陥っていると報道されている北朝鮮の経済状況が好転しない限り、将来的にこれまでと同様に債権が履行されない可能性が高いため、関係省庁間で調整を進めつつ、様々な対応策を想定して準備しておくべきと考える》

 あくまでも立法府たる参議院、その調査室が作成した文書だが、やはり行政=政府の諦めムードも伝わってくる印象だ。

 国家予算に比べれば、70億や80億は確かに端金だろう。しかし、かけがえのない「日本人」を奪われた拉致問題と同じ状況であることは論を俟たない。安倍首相を頂点とする政府が真に有効な“圧力”をかけ、少しでも解決の糸口を見つけられるのか、有権者の継続的で冷静な監視が求められている。

週刊新潮WEB取材班

2017年11月24日掲載

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