蔵書で床が抜けそうに…「静岡県立中央図書館」が臨時休館

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 床と一緒に腰も抜けてしまいそうな話である。静岡県立中央図書館の2階閲覧室の床に、最大で幅1・4ミリ、長さ3メートルにわたる複数のひびが発見され、3~4カ月の臨時休館を余儀なくされた。静岡県教育委員会の担当者によれば、

「県立図書館は築48年になるので、今年の4月から6月にかけて長寿命化に向けての施設調査を行い、発見しました。ひびは職員も以前から認識していましたが、古さゆえのものと、危ないとは思っていませんでした」

 放置すれば、床が抜けることにもつながりかねないという。古い建物に東海地震への懸念もあるが、

「地震に対しての補強はすでに行っており、耐震性については県の基準を満たしております」(同)

 だが、安心することなかれ、今回の“ひび”は、図書館が抱える根源的な問題とつながっているというからヤッカイである。

「今回の調査では、本の荷重がかかりすぎているという指摘がされました」(同)

 閲覧室の床の構造は1平方メートルあたり荷重が300キロまで耐えられる設計になっている。ところが、ここには約20万冊の本が収蔵され、1平方メートルあたり560キロの荷重がかかっていたのだ。

「本が増えてもそのくらい耐えられるだろうという認識だったのです。続々と新刊が出る中で、資料保存を使命とする図書館は蔵書量がどんどん増えていきます。ほぼ満杯になってしまった現状をどうするか、数年来の懸案でした」(同)

 県政担当記者が言う。

「三選が決まったばかりの川勝平太静岡県知事は浜岡原発について、再稼働反対の方針を打ち出し、波紋を呼んでいます。一方、図書館建て替えには数十億円の予算がかかる。こちらは目途も立っていない状態です」

 それこそ汗牛充棟(かんぎゅうじゅうとう)の蔵書をお持ちであろう学者知事に、難題が降ってきた。

週刊新潮 2017年7月13日号掲載

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