残念な上司がやりがちな「俺の背中を見て学べ」がダメな理由

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あの山本五十六でさえ「手取り足取り」し、部下を絶賛して、それでようやく人を動かしていた

 ようやく春らしい陽気になり、新年度の実感が湧いてきた。職場で新たに役職を得て、部下持ったビジネスパーソンもいるのでは? しかし、年の離れた部下にどのように接し、導いたらよいものか、はじめはなかなかわからないものだろう。「俺の背中を見て学べ」方式は高倉健みたいでかっこいいし、黙っているだけでいいわけだから、ついそちらに流れてしまいがちだ。しかし残念ながら、われわれはみな高倉健ではないし、背中に立派な教訓が書かれているなどと思わない方がいい。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、褒めてやらねば人は動かじ」――出口治明氏の著書『「働き方」の教科書』(新潮文庫)で紹介されている山本五十六の言葉だ。

 山本五十六はいわずもがな日本海軍の連合艦隊司令長官だった人物だが、そんな山本でさえ「手取り足取り」し、部下を絶賛して、それでようやく人を動かしていたわけである。

 そもそも部下というものは「エイリアン」くらいに思った方がいい。出口氏はこう書く。

〈上司は、自分の部下の衣食住の面倒を見ているわけではありません。偶然同じ職場に居合わせ、一日のせいぜい7~8時間の間一緒に働いているだけです。強いて言えば、少し経験が長いため、部下に仕事のほんの一部を教えているだけです。そう考えれば、部下が自分の子どもの10分の1ほども思いどおりに動かないのは当然だというリアルな認識が持てます。これはごく当たり前のことですが、この認識を持っている人は決して多くはありません。上司には人事権があるので、部下に強制的に言うことを聞かせることはできます。しかし、それでは面従腹背の部下を大量生産するだけです〉

 面従腹背の部下を持つくらいなら、やっぱり手取り足取り、汗をかき、部下を褒めまくるしかない。上司はつらいよ――。

デイリー新潮編集部

2017年4月10日掲載

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