トランプに握手を拒まれたメルケル…米独首脳初会談

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 米独両首脳の初会談冒頭――ホワイトハウスの大統領執務室でそれぞれソファに座ったトランプ米大統領とメルケル独首相。写真撮影のさなか、カメラマンから握手を請われ、トランプ氏に振り向いたメルケル氏は〈握手しますか?〉とたずねるが……トランプ氏は身動き一つしないばかりか、返事さえしなかった。日本の安倍首相とは19秒にも及ぶ長い握手をしたのにだ。

「異様な光景でしたよ。欧米で握手を拒むのは最大の侮辱。それも女性相手にですからね」

 とは、ドイツ在住のジャーナリスト、熊谷徹氏だ。

「ドイツを“ナチス”呼ばわりして関係を険悪化させたトルコのエルドアン大統領でさえ会談の際はメルケルさんと握手しましたよ」

 メルケル氏も苦笑するよりなかったが、

「ただ、メルケルさんは先進国首脳で唯一、トランプ氏の当選を条件つきで祝った人。民主主義、自由、基本的人権といった価値観を共有する限りドイツはアメリカに協力する、とやった。トランプ氏も面白くなかったでしょう」(同)

 英国在住の国際ジャーナリスト、木村正人氏も言う。

「同じく対米黒字が大きいと言っても2011年以降、大きく貿易収支が落ち込んだ日本に比べ、ドイツは順調に貿易黒字を伸ばして2016年度は過去最高です。また、同盟国中ダントツの米軍駐留経費を負担する日本に対し、ドイツはロシアの脅威が高まっている中、NATOの分担金が少ない。トランプ氏がいい顔をできるはずもないのです」

 メルケル氏にもにっこり握手できぬ事情があると前出の熊谷氏は言う。

「今年は総選挙の年ですが、左派の前欧州議会議長、シュルツ氏が国内政界に復帰するや有力首相候補に躍り出ました。トランプ氏に擦り寄ったりすれば、トランプ氏への反感が根強い国内からは批判されるでしょう」

 前門のトランプ、後門のシュルツでは、メルケル氏も悩ましかろう。

週刊新潮 2017年3月30日号掲載

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