森友学園理事長、籠絡の本命は麻生財務相だった 「文春」告発のウラ

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■明かさない経歴<

 なぜ、川田氏は防波堤になろうとしたのか。

 前出の永田町関係者は、

「川田さんは、4年ほど前から鳩山元総務相の事務所に出入りし、パー券を捌くことを手伝っていたけど、給料をもらう関係でもなかった。なにより、鳩山さんには当時、国有地を格安で払い下げさせる政治力はありませんでした」

 実は、彼は週刊文春で、「新建産業」(大阪・茨木市)という会社で働いていた経歴を明かしていない。

「その会社は『麻生セメント』の特約販売店です。社長は奥下幸義といい、麻生財務相の有力な後援者。川田さんは社長の次男と以前から飲み友達で、営業の仕事をするようになった。奥下一家は、政治とのかかわりが深く、妻の素子さんはずっと、橋下徹前大阪市長の後援会長でした」(同)

 さらに、奥下社長の長男、剛光氏は、橋下前大阪市長の特別秘書を務め、現在、大阪7区における日本維新の会の衆院選候補者である。

「言うまでもなく、鴻池元官房副長官は麻生財務相の側近中の側近。川田さんとその繋がりのある奥下一家を中心に置くと、国有地払い下げの権限を持つ財務省、小学校の認可権を握り、日本維新の会の松井一郎代表が知事を務める大阪府が一遍にネットワークに入ってくる。つまり、川田さんはそれを見えなくするために、週刊文春を利用して鳩山さんの名前を盾にしたというわけです」(同)

 もっとも、その思惑は鴻池元官房副長官の“自供”会見で吹き飛んでしまったわけだ

 では、当事者はどう答えるか。まず、川田氏に取材を申し込んだものの、都合の悪いことには黙して語らず。

 新建産業の奥下社長は、

「(川田氏と)久しぶりに会(お)うたら、“麻生先生、紹介してくれませんか?”と頼んできた。“うまく行ったら、籠池さんの学校の材料を全部、そちらで買うように言うときますよ”って。でも、話のなかで、“もう、鴻池先生にはお願いしてる”と言うから、“そら、あかんわ。無理や”と断った。窓口を2つも3つもつくったら、麻生先生も鴻池先生も良い顔せえへんやろ」

 最後に、麻生財務相は、

「(川田氏との接触や払い下げの口利きなどについて)いずれもそうした事実はございません」(事務所)

 しかし、離れ業なしに森友学園の国有地格安購入はあり得なかったはずである。

 どこかに、それを演じた政治家はいる。

特集「『森友学園』の火薬庫」より

週刊新潮 2017年3月16日号掲載

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