清水富美加、“幸福の科学の石原さとみ”に? 教団が抱える総選挙と離婚問題

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清水富美加

 人気女優・清水富美加の出家宣言は残された契約を反故にするだけで誰も幸せにしなかった。ままごとみたいな愚行の陰で糸を引いていたのは他ならぬ「幸福の科学」。世間は驚きついでに思い出した。1200万も信者がいるのに選挙で1人も当選していない怪を。

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 清水の出家を、教団の将来を憂う大川隆法総裁(60)が打って出たギャンブルと指摘する声があるが、

「今回の騒動を受けて、一番に感じたのは教団の『二世問題』です」

 そう解説するのはジャーナリストの藤倉善郎氏だ。

「清水さんは、親が信者で幼少期から信仰を持っていた。おそらく家庭内でも“大川総裁が神である”と教育を受けてきたのでしょう。そのような人がある日、大川総裁から霊言を与えられ、“覚悟を決めよ”と『ラブコール』を受ければ、舞い上がってしまって当然。仕事を放り出してしまった清水さんに世間からの風当たりは強いですが、育った家庭環境を考えれば、正常な判断が働かない状況に陥ってしまったのも致し方ないような気がします」

 では、清水に出家を決意させた幸福のカネ、現状、課題について見てみることにしよう。ジャーナリストの山田直樹氏によると、

「ピーク時の会員数は13万5000人でした。このうち、毎週のように教会へ通う『活動会員』は3万人。熱心な会員ともなると年に1000万円以上もお布施をします。大川本の印税を加えると、教団には毎年300億くらいのカネが入ってきていた。そこから職員の給与など諸経費を差っ引いてもざっと150億が残る計算です」

 いまもなお「世界で1200万人の信仰」を公称する教団は世情に疎いというのが通り相場。それが退潮の引き金となることについては後述するが、さておき、宗教法人法の庇護のもとに集められた信者の血と汗と涙からなる「無税で約150億円」の話は、むろん単年にとどまるものではない。

 積もったキャッシュはどうなるかというと、都内を中心とする不動産に形を変えて行ったのである。

 失われた20年という焦土に枯れ果てたバブルの徒花なら、濡れ手で粟と言わないまでも、二束三文みたいなもの。

 事実、登記簿謄本を確認すると、銀座30坪、五反田50坪、赤坂60坪……と枚挙にいとまがなく、90年代後半から2010年頃に亘り、すべて現金で購入している。

 銀座は坪単価6000万円、赤坂でもこの半分は下らない代物であるのに加えて、宗教活動に使用すると認可されれば不動産取得税に固定資産税、都市計画税から登録免許税までが非課税となる。いずれにせよ、当時の幸福にとっては“はしたガネ”だった。

■総選挙と離婚問題

 そんななか、風向きが変わって、違うものが入りこみ始めたのが09年。幸福実現党を結党して衆院選に打って出たものの、惨敗したのである。

「幸福の科学を熱心に支持する人たちのなかで自民党のシンパは少なくなかった。それが、選挙で自民よりも過激な右寄り政策を打ち出したことで離れて行ったんです」(同)

 言ってみれば世間から爪はじきにあったこの愚行の一番のポイントは、日本のみの数字ではないとはいえ、信者が1200万もいりゃ1人くらい当選するのになんで?という疑問に答えられなかったことだ。東大法学部を卒(お)えた本尊「エル・カンターレ」は絶対的存在ではなかったのか。

 更に追い打ちをかけたのが、10年に持ち上がった妻・きょう子さんとの離婚問題である。

「ボディブローのように効いて行きましたね。結果として、お布施をたくさんしてくれる太い信者、通称『大黒天』が激減し、年間の集金額が2分の1から3分の1になってしまった」(同)

 事実とすれば、要するに年間で100億~150億円に留まるわけで、これでは立ち行かないかもしれない。そこで、新たな信者獲得策として白羽の矢を立てたのが、他ならぬ清水だったということなのだろう。

■石原さとみを意識

 実際、こんな布石が打たれていて、

「総裁の長男・宏洋氏は勤め先の建設会社を辞め、昨年1月から幸福系の芸能プロ社長を務めています。彼自身を含めてすでに約10人のタレント・役者が所属しており、この事務所に清水が名を連ねる可能性は否定できない」(同)

 その一方で、

「過去を振り返ってみると……」

 と、これは元幹部信者の分析である。

「景山民夫にしろ小川知子にしろ、芸能界での活動と信仰を両立させるように仕向けていたんです。それに総裁は創価学会員である石原さとみの存在をかなり意識している。彼女がいて学会はステータスを確立したとさえ捉えているんです。清水を『幸福の科学のさとみ』になぞらえたかったんでしょうけれど、なおのこと在家でやらせた方がよかったんじゃないでしょうか」

■出馬させる可能性も?

 先の藤倉氏が後を受け、昨年に変更された「退会手続き」に教団の焦りを見て、

「煎じ詰めると、“支部長と面談のうえ了承を得ること”“幸福の悪口は絶対言わないと約束すること”となりました。上層部からの許可なしに抜けられないということはつまり、信教の自由を認めない宗教法人になったということです」

 とし、こんな総括をする。

「すでに清水さんに法名を与えましたが、出家前の信者にそうするのは異例だし、発生する違約金を肩代わりするとみられている点も、普段の教団では寡聞にして聞いたことがありません。それほど歓待されている清水さんですから、被選挙権を得たのち、知名度を生かして、出馬させる可能性もある」

 仕事という未来から逃避して勝手に出家した清水が壮大なままごとに駆り出される日が来るのか。いや、ままごとと言っては子供に失礼だろうか。

特集「素朴な疑問は『幸福の科学』信者1200万人なのになぜ落選? 勝手に出家『清水富美加』が不幸にした人」より

週刊新潮 2017年2月23日号掲載

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