日米“晩餐”に北朝鮮ミサイル トランプは“眼中なし”の対応

国際 韓国・北朝鮮

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 フロリダの抜けるような青空を飛ぶゴルフボール。その白い軌跡を追った日米両首脳が数時間後には共同記者会見の場に立っていた。

「日本時間で12日午前8時前、北朝鮮がミサイルを4カ月ぶりに発射したのです。ホールアウトして2時間後、夕食会が始まる直前のことでした」(国際部記者)

“晩餐”に水を差された格好だが、夕食後、会見で安倍首相が〈ミサイル発射は断じて容認できない〉と北朝鮮を強く非難すると、トランプ大統領は〈米国は偉大な同盟国である日本を100%支持する〉と応じ、同盟の強固さを示した。

「ですが、トランプ氏は同盟を強調するだけで北朝鮮については一言も触れず、記者の質問も受け付けませんでした。そのため米メディアに“驚くべき自制心”“イランの時と違いすぎる”と揶揄されています」(同)

 1月末にイランが中距離弾道ミサイルの発射実験を行った際は、トランプ政権はすぐさま「警告」を発しているのだ。国際ジャーナリストの惠谷治氏は言う。

「日本はすでにミサイルの射程内ですが、今の米にとって北朝鮮は眼中にない。核の小型化に成功しても、大陸間弾道ミサイル(ICBM)がなければ米にとっては脅威でないからです。北朝鮮にしてみれば、その米の目を向けさせるため、このタイミングでミサイル発射を行ったのでしょうが」

 とはいえ着々と北のミサイル技術は進歩している。

 軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏は言う。

「今回の“新型”ミサイル〈北極星2〉の試射を北朝鮮は“成功”と謳っていますが、間違いないでしょう。金正恩委員長は新年の辞でICBM発射実験の準備が最終段階に入ったと述べています。技術陣もこの言を違えるわけにはいかない。準備さえ整えば今後も発射実験を続けるでしょう」

 要注意なのは北朝鮮が嫌忌する3月の米韓軍事演習。

「北朝鮮が米軍の頭越しにミサイル実験を行う可能性も否定できない」(同)

 挑発的な北朝鮮への先制攻撃論も排除していないトランプ氏。その時も“自制心”が働くのかどうか──。

週刊新潮 2017年2月23日号掲載

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