WBC欠場の大谷翔平、自滅の理由は「足首の爆弾」と「キックボクシング」

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ケガ人らしからぬ華麗なキック(ダルビッシュ有Instagramより)

 誰もが認める“球界の至宝”大谷翔平(22)に対し、容赦なく「喝!」を入れ続けてきた野球評論家の張本勲氏は、今回の一件に慨嘆しきりである。

「“いつか必ずケガをする”と前々から言ってきたんですよ! 僕もかつては日本ハムの選手だったから、大谷のことは後輩のように思っている。それだけに今回のケガは本当に心配です。このままでは選手生命が絶たれるような結果すら招きかねません」

 ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)の開幕を1カ月後に控えたタイミングでの「ドタキャン」騒動。昨年は投手として10勝を挙げ、打っては22本塁打を記録した「二刀流」の欠場が、世界一を目指す日本代表にとって大打撃なのは間違いない。

 大谷本人は今月3日、

〈いまは目標を見失っている段階で、なかなか切り替えるのは難しい。期待に応えることができなくて申し訳ない……〉

 と沈痛な面持ちで謝罪の弁を述べている。

 確かに、22歳の若きスターが周囲の期待に応えるため、痛みに耐えながら苦闘を続けてきたという見方もあろう。だが、冷静にケガの経緯を振り返れば「自滅」の2文字が脳裏に浮かぶのも事実なのだ。

 スポーツ紙デスクが振り返るには、

「大谷は昨年10月の日本シリーズ第4戦に“3番DH”でスタメン出場した際、1塁ベースへの走塁で右足首を捻挫しています。その時は、患部に分厚いアイシングを施しながらも、“足首が緩いので、いつも冷やしているんです”と軽傷をアピールしていました。ただ、“足首が緩い”とは、捻挫を繰り返したせいで関節が不安定な状態にあることを指す。そんな爆弾を抱えながら日本代表にこだわったことがWBC欠場に至った第一の原因でしょう」

■右足首三角骨の骨棘

 プロ入り前からメジャー行きを熱望していた大谷は、一方で、ことあるごとに日本代表への憧れを口にしてきたという。巷間言われるように、来季からメジャーに移籍すれば次のWBCはおろか、2020年の東京五輪への出場もほぼ不可能。

 今回のWBCは事実上、日の丸を背負う最後のチャンスだったわけだ。

「そうした気負いが災いしたのは間違いない。日本シリーズ直後の11月には侍ジャパンの強化試合に野手として参戦。右足首にサポーターを巻いて出場したメキシコ戦でまたも右足首を捻り、症状を一気に悪化させてしまう。結局、これが致命傷になった。現在まで続く痛みの原因は、“右足首三角骨の骨棘(こつきょく)”によるものと診断されています」(同)

 医学博士で日体大総合研究所所長の武藤芳照氏が解説するには、

「男性の場合、16〜17歳までは全身に軟骨が残っています。スポーツ選手は身体の特定の部位に繰り返し圧迫やねじれ、引っ張りといった負荷がかかり、それによって骨や軟骨が変形してトゲのように尖った骨棘が生じる。これが筋肉や神経に触れると炎症を起こして痛みに繋がるのです。軽い症状なら2〜3週間で完治しますが、大谷選手は日本シリーズで発症した後も、立て続けに日本代表の強化試合に出場している。痛みを堪えているうちに炎症が悪化してしまったのでしょう。それが神経に直接触れるような骨棘であれば手術で削り取る必要があります」

 大谷自身は手術について、

〈WBCも強化試合もない状態だったら、去年の段階でしていたかもしれない〉

 と漏らしている。

 しかし、手術が頭を過(よぎ)るほどの深刻な自覚症状がありながら、なぜこんな「動画」が出回っているのか。

 この年末年始、大谷はダルビッシュ有との合同自主トレに参加した。ダルビッシュが公開した動画には、「キックボクシング」に興じる大谷の姿が映されていた。トレーナーのミットめがけて強烈な「右」ミドルキックを打ち込む姿には、首を傾げざるを得ない。

「患部を安静固定せずに、慣れない運動で負担を掛ければ回復は遠のきます。キックボクシングも痛みを悪化させた要因のひとつに違いありません」(武藤氏)

 ここまで苛め抜けば、右足首が悲鳴を上げるのは自明であろう。

特集「メジャー評価も『40億円減』!手術不可避『大谷翔平』が自滅した理由」より

週刊新潮 2017年2月16日梅見月増大号掲載

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