オウム麻原彰晃、死刑執行なら始まる「遺骨争奪」と「古墳づくり」狂騒

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2015年に手記を出版した三女のアーチャリー(松本麗華)と麻原妻の壮絶なバトルが始まる

 俳優の宇津井健や高倉健の例を挙げるまでもなく、遺産や遺骨を巡り紛争が頻発するのは俗世の常だ。そして元来は悟りを目指した筈のあのファミリーもまた、ハデな骨肉の争いを展開すると見られている。今秋、一連のオウム真理教(現アレフ)事件を裁く公判の実質審理が全て終結。これで首魁、麻原彰晃(61)の死刑がいつ執行されてもおかしくない状況が整った。Xデーが到来した時、狂信的な信者たちはどういう行動に出るのか。聖なる遺骨と古墳づくりの行方――。

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 17年間の逃亡の果て、逮捕された高橋克也(58)の控訴審判決が言い渡されたのは9月7日のこと。地下鉄サリン事件で実行犯の送迎役を果たした“最後の被告”に対して、東京高裁は一審の無期懲役刑判決を支持し、控訴を棄却した。

「まだ最高裁に上告中ですが、そこでは憲法違反などを書類で審理するのみで、証人尋問どころか被告人出廷すらない。判決が覆る可能性は100%ありません」

 とは、司法クラブの記者だ。

「本来、法務当局は、死刑が確定した者にはいつ刑を執行してもよい。しかし共犯者の裁判が続いていれば、死刑囚の証人出廷が必要になる可能性があるので、その公判が終わるまで待つのが慣例です。今回、高橋の裁判が事実上の終結を迎えたことで、麻原処刑には何ら支障がなくなった」

■聖地巡礼の狂騒

 もっとも教祖が処刑された場合、危惧されるのは、未だ麻原を盲信する信者が何をしでかすか読めない点だ。オウム問題に通暁する滝本太郎弁護士が推察する。

「報復テロや後追い自殺を心配する向きもありますが、集団的なものはないでしょう。しかし教団でのいざこざから退会したり排斥されたが、一人で麻原への帰依を誓う人もいる。あるとすれば、そうした“一人オウム”や“跳ね返り”だと思います。マッチとガソリンがあればテロはできます。さらに自殺。“尊師の死後の四十九日の間に死ねば、共に転生してくれる。解脱もありえる”と期待して後を追う者が少数出る危険性はある」

 さらに懸念されるのは、麻原ファミリー間の権力闘争が先鋭化することだという。公安関係者が語る。

「現在、教団と最も深い関係を堅持しているのが、麻原の妻、明香里(知子から改名)です。彼女は次男(22)を教団の後継者に祭り上げ、自身の影響力を残そうとしている。それに反対して、母親と対立しているのが、三女のアーチャリー(松本麗華)です」

 この両者の争いの勝敗を分けるカギは、

「麻原の遺骨です」

 と、先の滝本弁護士。

「遺体を当局から引き取るのは、相続人の第1位にあたる者が優先されるので、奥さんになる。おそらく彼女は遺体を火葬して、遺骨を手にすることになるでしょう。お釈迦様の遺骨を仏舎利と呼ぶように、仏教の世界ではこれが持つ意味は大きい。麻原の遺骨を押さえ、次男を担ぐ妻の影響力が教団内で増すことが予想されます。一方、アーチャリーも分骨を求め、争奪戦が起こる可能性が高い。三女が火葬場に押しかけ、揉める事態もあり得ます」

 またこの遺骨を巡っては、

「将来的に祀られる場所が聖地として信者たちから崇められることになる。どこか地方に土地を買って、古墳をつくったり、五重塔や仏塔のようなものを建造する可能性もある」(同)

 遺骨の行き先で、住民の激しい反対運動が起こることは想像に難くない。聖地づくりが新たな騒動の火種となるのは必至だ。

ワイド特集「1度目は悲劇 2度目は喜劇」より

週刊新潮 2016年12月8日号掲載

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