「君の名は。」ご当地、飛騨市に補正予算 ラッピングバス等でPR

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「君の名は。」のヒットで人だかりができている飛驒古川駅

 地域活性化のネタ探しに奔走する地方にとって、これほど打って付けというのも、そうはあるまい。

 興行収入200億円を突破したアニメ映画「君の名は。」は、5日時点で、邦画歴代2位の大ヒットを記録。台湾や香港等に続き、中国でも2日に公開されると、瞬く間に興収ランキング首位に輝き、その勢いは収まる気配を見せていない。

 このブームに乗らない手はないと、自治体を挙げて盛り上げるのは、映画のシーンでモデルとなったとされる岐阜県飛驒市だ。

 市政担当記者によれば、

「市は観光誘致のために『君の名は。』を使ったPR事業等をするとして、約1500万円の補正予算案を12月の定例議会に提出しました。特段の問題もなければ、反対する理由もない。今月中旬には予算が通ることになります」

 その使い道は、飛驒古川駅と新宿を結ぶ高速バスに市と映画をタイアップさせたラッピングを施したり、舞台のイメージとなった市内5カ所の巡礼マップ等を作成したりするという。

「映画公開後の9月は昨年に比べ5000人ほど、10月はさらに増えて7000人ほどが、聖地等の観光に来ています」

 と嬉しい悲鳴を上げるのは、飛驒市商工観光部観光課の担当者。

「寒くなってきて、今は少々落ち着いてきましたが、冬は雪深いので、例年、観光客の数は減ります。その頃にラッピングバスの運行を始めて、PRに繋がればいいのですが」

 どうやら予算案作成の裏には、少しでもブームが長続きしてほしいと願う、切実な思いが込められているようだ。

「ただ、あまり行政がガツガツすると、逆にファンが逃げてしまったなんて例が、過去にあったそうです。地域に誘客したいのはもちろんですが、何分コアな世界ですから、ファン目線に注意していかないといけないと考えています」(同)

 ブームが去った後は、一段と冷えこむのが世の常。ほどほどが一番か。

週刊新潮 2016年12月15日号掲載

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