浅田真央、GPシリーズ惨敗 険しい五輪出場への道

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 光と影とは、つねに対をなす。名声を博した者が引き際を見誤れば、それは痛々しく映るだけである。1年間の休養を経て昨年5月に現役復帰した浅田真央(26)が、このたび惨敗を喫した。自身が「最終目標」と位置付ける五輪出場への道は、やはり険しく……。

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浅田真央(26)

 さる11日から開催されていた、グランプリ(GP)シリーズ第4戦フランス大会。浅田は初日のSP8位に続きフリーでも振るわず、シリーズ自己ワーストの9位に終わった。フィギュア担当記者が言う。

「今シーズン初戦となった10月上旬のフィンランディア杯の後、佐藤信夫コーチが『昨季から左膝を痛めている』と明かしました。下旬のGPシリーズ第1戦・スケートアメリカは6位に終わり、今回も引き続き“爆弾”を抱えながらの出場で、慎重にならざるを得なかった。実際に12選手の中で、連続3回転ジャンプを予定に組み入れていなかったのは彼女だけでした」

 ファイナル出場を逃した浅田は、滑り終えて“自信を失った”と涙を隠さなかった。スポーツライターの折山淑美氏は、

「問題は、10月からずっと休みのない状態が続いていることです。本来ならばきちんと完治させるべきですが、さすがにGPシリーズは見送れなかったのでしょう。今回、フリーで3回転を跳べたのは最後のループだけ。これまでの彼女からすれば考えられない内容ですが、練習の時から満足に滑れないことで不安が重なっているのだと思います」

 その点は、元プロスケーターの佐野稔氏も、

「3回転を6つ用意していましたが、最後以外はほとんど2回転になってしまった。ループは右脚だけで跳べますが、他のジャンプは全て左脚も絡んでくる。左膝の状態がいぜん思わしくないのは、容易に想像できます」

■ピークは19歳

 ソチ五輪では転倒もあってメダルを逃した浅田は、進退について“ハーフハーフ”としながら引退を撤回。なおも18年の平昌五輪を見据えているわけだが、さるスポーツライターは、

「女子選手のジャンプ能力のピークは19歳と言われています。ましてソチ以前から慢性的な腰痛を抱えており、もはや完治するものではなく騙し騙しやっていくしかない。彼女は元来、長時間みっちり練習し、それを自信にして実力を発揮するタイプ。思い切りの良さが感じられない演技は、練習不足を物語っています」

 もっとも、

「フランス杯の結果を見ると、ジャンプ以外のステップワークやエッジワークは高得点をマークしている。だから連続3回転に固執せず、3回転~2回転のようにレベルを下げて完璧にこなしていく手もあるのです。ところが本人は頑固で、佐藤コーチが提案しても『ジャンプを戻したい』と突っぱねる。かつてのジャンプは年齢的にも戻ってこないと自覚すべきです」(同)

 光明が見出せるかといえば、さにあらず。ジャーナリストの青柳雄介氏が言う。

「左膝の影響とはいえ、ファイナル進出を逃したことで、彼女も考えるところがあるはずです。今後は年末の全日本選手権、その成績次第で来年3月の世界選手権代表が決まりますが、全日本で思うような結果が出せなければ、辞める可能性も出てくると思います」

 有終の美どころではない。

ワイド特集「木枯らしの門」より

週刊新潮 2016年11月24日号掲載

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