民進・野田幹事長、大嫌いな小沢一郎と会合 野党共闘の苦渋

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 大嫌いな人を前にして、顔で笑って心で泣いて……。野田佳彦・民進党幹事長の心境は、こんなところではないか。何しろ「犬猿の仲」の自由党の小沢一郎代表と2度も会談したというのだ。その上、少年時代から嫌いだった共産党との選挙協力も行うらしい。これは、正しく“苦渋の選択”である。

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恩讐を超えて……

「えっ、野田君がオレに会うっつうの?」

 小沢氏は、野田氏が会談に応じることを聞かされ、開口一番こう漏らした。余程、驚いたようである。

 野田氏を小沢氏に引き合わせたのは、民進党の鈴木克昌代議士だ。少々ややこしいが、鈴木氏は民主党を離党し、小沢氏の新党に参加したものの、前回の総選挙では再び民主党から出て当選。民進党では“小沢別働隊”と呼ばれている。

「野党共闘は見通しが立たないし、小沢さんの出番もない。そこで鈴木さんは、少しでも小沢さんの存在感を発揮させようと、野田さんに『小沢さんに会ってみませんか』と持ち掛けた。すると、意外にも二つ返事で承諾が得られたというのです」(政治部デスク)

 野田政権時代、小沢氏は消費増税に反対。最後は仲間を引き連れ離党、民主党を分裂させた張本人である。

「野田さんからすれば、犬猿の仲どころか、顔も見たくない存在でしょう。小沢さんも自分が嫌われていることは十分分かっている。自分と会うことを承諾したと聞いて、びっくりしたのも無理はない」(同)

■己をむなしくして

 最初の会談が行われたのは10月29日で、

「小沢さんは野田さんに衆院で民進党が捨ててもいい選挙区、自民党が弱点を抱えている選挙区などを具体的に挙げ、あれこれ知恵を出した。野田さんは、その席で2回目の会談を申し込んでいます」(同)

 2度目の会談は11月2日。野田氏にすれば、「鉄は熱いうちに打った方がいい」と考えたようだが、

「先月、衆院で2つの補選が行われ、共産党は候補者を取下げた。野田さんは、これを野党共闘の大きな一歩と考えたようだ」

 とは、民進党関係者。

「1998年、当時、官房長官だった野中広務さんが、かつて『悪魔』と呼んだ小沢に平伏してでもと、自自連立政権を組んだ。野田さんはそれを参考にしているのです。小沢は共産党の志位委員長と親しい。ここは、小沢に頭を下げ、共産党を含めた野党共闘の幅を広げるつもりでしょう」

 そもそも、野田氏は幹事長を引受けるにあたり、2つの難題を抱えていた。

「1つは、小沢とは一緒にやれない。もう1つは、共産党ともやりたくない、でした。野田さんの父親は陸上自衛官で、習志野の第1空挺団に所属していた。彼の通っていた学校には共産党系の日本教職員組合に所属する教員が少なくなかった。おかげで、野田さん自身、昔から共産党が嫌い。以前は『選挙協力は考えられない』とはっきり語っていたほどです」(同)

 民進党議員によれば、

「野田さんは、『己をむなしくして、幹事長職を全うする』と話しています。今度の動きは、それをまさに実行しているということ。ただし、小沢さんに対しまだまだ胸襟を開くという感じではありません」

 今のところは、“形だけの握手”というわけか。

ワイド特集「神帰月の超常現象」より

週刊新潮 2016年11月17日号掲載

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